― アルファベット略称・日本語名・継電器番号・機能まとめ ―
はじめに
高圧受電設備では、
- OCR・GR のような保護継電器(番号あり)
- LBS・VT・CT などの機器(番号なし)
が混在しています。
本記事では 「継電器番号の有無に関係なく」、図面やキュービクルで使われる名称を整理します。
記事末尾には各機器の詳細記事へのリンク集もまとめています。
一覧を見る前に、各機器が受電設備のどこにあるかを図で確認しておくとイメージしやすくなります。

① 保護継電器(継電器番号あり)
| 継電器番号 | 略称 | 日本語名称 | 主な機能 |
|---|---|---|---|
| 50 | OCR | 瞬時過電流継電器 | 短絡電流を即時検出 |
| 51 | OCR | 反限時過電流継電器 | 過電流を時間要素で検出 |
| 50G / 51G | GR | 地絡過電流継電器 | 地絡電流を検出 |
| 64 | OVGR | 地絡過電圧継電器 | 地絡時の零相電圧検出 |
| 27 | UVR | 不足電圧継電器 | 電圧低下時に動作 |
| 32 | RPR | 逆電力継電器 | 逆潮流を検出(系統連系保護) |
| 37 | UPR | 不足電力継電器 | 受電電力の不足を検出(特高連系等) |
| 59 | OVR | 過電圧継電器 | 過電圧を検出 |
| 49 | TLR | 熱動形過負荷継電器 | 熱蓄積による保護 |
| 67 | DCR | 方向性過電流継電器 | 電流方向を判別 |
| 87 | DIF | 差動継電器 | 内部故障を高速検出 |
| 81U / 81O | UFR / OFR | 不足周波/過周波継電器 | 周波数異常検出 |
| 67G | DGR | 地絡方向継電器 | 地絡電流の向きも判別(もらい事故防止) |
② 継電器番号を持たない保護・制御機器(重要)
※ 番号が無い=重要でない、ではありません
| 略称 | 日本語名称 | 継電器番号 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| LBS | 負荷開閉器 | ― | 負荷電流の開閉 |
| VCB | 遮断器 | ― | 短絡・過電流の遮断 |
| DS | 断路器 | ― | 回路の完全切離し |
| PF | 高圧限流ヒューズ | ― | 短絡電流の保護 |
| LA | 避雷器 | ― | 雷サージの吸収 |
| Tr | 変圧器 | ― | 高圧→低圧変換 |
| PAS・UGS | 高圧交流負荷開閉器(気中・地中) | ― | 構内第1柱などで区分、SOG機能 |
| SC | 進相コンデンサ | ― | 力率改善 |
| SR | 直列リアクトル | ― | 高調波抑制・突入電流抑制 |
| CH | ケーブルヘッド | ― | 高圧ケーブルの端末処理 |
| TC | 引外しコイル | ― | 継電器の指令で遮断器を引外し |
👉 継電器の指令を受けて動作するのは CB
👉 LBS や DS は保護判断をしない
③ 計測・検出用機器(番号なし)
※ VT(電圧)・CT(電流)は「継電器の目と耳」
| 略称 | 日本語名称 | 継電器番号 | 機能 |
|---|---|---|---|
| VT | 計器用変圧器 | ― | 電圧を低圧に変換 |
| CT | 変流器 | ― | 電流を低電流に変換 |
| ZCT | 零相変流器 | ― | 地絡電流検出 |
| ZPD | 零相電圧検出器 | 地絡電圧検出 | |
| V | 電圧計 | ― | 電圧表示 |
| A | 電流計 | ― | 電流表示 |
| Wh | 電力量計 | ― | 使用電力量測定 |
| COS | 力率計 | ― | 力率を計測 進み lead 遅れ lag |
| MOF(VCT) | 計器用変成器 | ― | 取引用の電力量計測(VT・CTを内蔵) |
④ 補助リレー・操作回路(番号なしが多い)
| 略称 | 日本語名称 | 継電器番号 | 用途 |
|---|---|---|---|
| AX | 補助リレー | ― | 接点増設・論理回路 |
| AL | 警報リレー | ― | ブザー・ランプ |
| SHT | シャントトリップ | ― | 遠隔遮断 |
| UVT | 不足電圧引外し | 27相当 | 電圧低下で遮断 |
⑤ よくある誤解
❌「OVGR=64 だから装置名も 64」
⭕「64 は“機能番号”で、OVGR は装置の呼び名」
現場ではこう見る:キュービクルの見方
外観でまず見るのは、消防認定品かどうかです。認定品かどうかで、あとから改造できるかが決まります。増設や改造の相談を受けたときは、最初にここを確認します。
扉を開けたら、見るのは2つです。取引用の電力量計が中にあるかどうかと、主遮断装置がVCBかLBSか。この2つで、設備の容量と構成がだいたい分かります。
小規模な設備はLBS(PF・S形)、規模が大きくなるとVCB(CB形)になります。この境目は LBSの記事 と VCBの記事 で詳しく書いています。
更新はどこから考えるか
重要度で並べると、SOG(PAS・UGS)→ 高圧ケーブル → 主遮断装置と継電器の順です。
ただし、リスクで見るとコンデンサが圧倒的です。コンデンサの劣化が原因のトラブルが、とにかく多い。その次がトランスだと考えています。
古い設備では、低圧側で自動力率改善をしているものに出会うこともあります。
一覧を使うときの注意
図面の機器名と実機が一致しないことがあります。特にトランスは、入れ替えで容量が変わっていることがよくあります。図面だけで判断せず、現地で銘板を確認してください。
略称で混同しやすいものもあります。VCSは繰り返し開閉できるので、コンデンサの入り切りに使われます(VCSの記事)。LBSは「LBS=LBS+PF」と思われがちですが、保護を担当しているのはPFです(LBSの記事)。
各機器の詳細記事(このブログ内で読める解説)
この一覧をハブとして、各機器の詳細記事にアクセスできます。ブックマークして辞書的に使ってください。
保護継電器
- OCR(過電流継電器)の仕組みとCT選定
- GRとDGRの違いと使い分け
- OVGR(地絡過電圧継電器)の仕組みと動作時の対応
- UVR(不足電圧継電器)の役割と使い方
- RPR(逆電力継電器)の整定値・結線の注意点
- UPRが採用される理由(RPR・OVGRとの違い)
- 太陽光発電の保護協調(全体像)
開閉機器
- PAS(柱上気中負荷開閉器)とSOG機能
- DS(断路器)とLBS・VCBとの違い
- LBS(高圧負荷開閉器)とPFヒューズ
- VCB(真空遮断器)の仕組みと点検
- VCS(真空開閉器)とVCB・LBSの違い
変圧器・計測・その他
まとめ
- 継電器番号がある → 判断・検出を行う
- 番号がない → 開閉・計測・補助動作
- 高圧受電設備は 役割分担で成り立っている
🔗 関連:断路器(DS)とは?LBS・VCBとの違いと安全な操作手順/VCB(真空遮断器)とは?仕組み・引き外し方式・点検の実際/LBS(高圧負荷開閉器)とは?PFヒューズ・ストライカの仕組み/PAS(柱上気中負荷開閉器)とは?SOG機能と波及事故防止



コメント