分電盤や配線工事では、回路番号の付け方、分岐回路容量の考え方、入線方法、接地の扱いなど、現場で守るべき基本ルールが多くあります。
本記事では、内線工事で特に間違えやすいポイントを中心に解説します。
回路番号の表記(L盤・P盤)の考え方
分電盤や電灯盤では、回路種別を分かりやすくするために番号が付けられます。
- L盤:電灯回路
- P盤:動力回路
たとえば「L1-1」という表記は、
電灯盤・1階・1番目の回路を意味するケースが多く、現場や図面でよく使われます。
また、屋内用・屋外用の区別も盤表記や回路番号で判断することが多く、施工・点検時の重要な手がかりになります。
分岐回路の原則(電技解釈第149条)
まず原則から。分岐回路は過電流遮断器の定格・電線の太さ・コンセントの組み合わせが電技解釈第149条で決められています。
| 分岐過電流遮断器 | 電線の太さ(規定) | 実務での目安 |
|---|---|---|
| 15A | 直径1.6mm以上 | 1.6mm |
| 20A(配線用遮断器) | 直径1.6mm以上 | 2.0mm推奨 |
| 20A(ヒューズ) | 直径2.0mm以上 | 2.0mm |
| 30A | 直径2.6mm(5.5mm²)以上 | 2.6mm・5.5sq |
注意したいのは20Aの行です。規定上は配線用遮断器なら1.6mmでも適法ですが、VVF1.6-2Cの許容電流は18A程度しかなく、20A近く流れうるコンセント回路では余裕がありません。このため「分岐回路は2.0mm、器具への送りは1.6mm」を社内基準にしている会社が多いのが実情です。「規定」と「実務で教わるルール」が違う理由は、この許容電流の余裕にあります。
分岐回路容量の特例(細い幹線の取り扱い)
通常、電線は上位側の過電流遮断器で保護される必要があります。
しかし、一定条件を満たす場合に限り、太い幹線から細い幹線を直接分岐することが認められています。
条件①
細い幹線の許容電流が、
太い幹線に直接接続されている過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合。
条件②
太い幹線、または条件①の細い幹線に接続される
長さ8m以下の細い幹線で、
その許容電流が定格電流の35%以上である場合。
条件③
太い幹線、または条件①・②の細い幹線に接続される
長さ3m以下の細い幹線で、
負荷側に他の幹線を接続しない場合。
これらの条件は、短絡時や過負荷時の危険を抑えるために定められており、距離と許容電流の両方を必ず確認することが重要です。
単相3線式の相バランス
電灯盤(単相3線式)では、L1・L2に負荷を偏らせないことが基本です。片寄ると中性線電流が増え、電圧の不平衡も起きます。増設工事が重なった盤は片相に偏っていることが多く、点検では各相の電流値を見比べます。
中性線欠相の怖さ
単相3線式で中性線が切れる(欠相する)と、負荷のバランスによっては100V機器に200V近くがかかり、機器が焼損します。原因は分電盤の端子緩み・接触不良であることが多く、対策は次の2つです。
- 中性線欠相保護付きELBを選定する
- 点検で端子の増し締め・温度確認を行う(緩み→発熱→欠相の順で進むため)
盤への入線方法と防護処理
分電盤や電灯盤では、入線方法にも注意が必要です。
- 上部からの入線は原則避ける
- 盤の開口部はパテ埋めを行う
パテ埋めを行うことで、
- 湿気の侵入防止(防湿)
- 虫の侵入防止(防虫)
- ほこりの侵入防止(防塵)
といった効果があり、盤内部の劣化やトラブルを防ぐことができます。
実際、屋外の盤は特に虫が入り込んでいるのをよく見ます。パテ埋めは防虫・防塵に加え、完全ではないものの結露対策にもなります。また、工場によっては「配管は盤の上から入れてはいけない」と施工基準で決めているところもあります。上面開口は水・異物の侵入リスクが最も高いためです。
ケーブルの行先表示は「相手先」を書く
盤内のケーブルに「分電盤へ」と表示されているのを見かけますが、分電盤側から見たら意味がありません。施工中に「どこへ引っ張るか」で付けた表示がそのまま残ったパターンです。
表示は両端とも「相手先(例:2F動力盤、P2-3)」が特定できる書き方にしておくと、後の点検・改修のときに効いてきます。
ELB回路と接地(アース)の重要な注意点
ELB回路の接地工事注意点!!
D種接地工事では、
- ELBで保護されている回路
- ELBで保護されていない回路
これらを同一の接地系統にしてはいけません。
安全確保のためにも、接地系統は必ず分離して施工します。
※ 接地抵抗が2Ω以下の場合のみ、共用が認められています。
なぜ接地を分ける必要があるのか
仮に、ELBで保護されていない回路が漏電した場合、
その回路は遮断されず、地絡状態が継続します。
このとき、ELB回路と接地を共用していると、
- 共用接地を通じて地絡電流が流れる
- ELB回路側の機器外箱などに電位が現れる
その状態で人が機器に触れると、
感電事故につながる恐れがあります。
既設の古い盤は「疑ってかかる」
昔の盤では、中性線側が回路ごとではなく共通の断路器・端子にまとめられている構造があります。この場合、絶縁測定で回路を切り離したつもりが切れていなかったり、回路番号の対応を取り違えたりしやすくなります。
既設盤は「今の常識どおりにできている」と思わず、まず構造を確認してから作業するのが鉄則です。
改修・増設時に忘れがちな2つの確認
- ケーブルを無理なく収める計画——入線位置・順序を考えずに行き当たりばったりで入れると、盤内がぐちゃぐちゃになり後の作業性も悪化します。改修前に「どこから入れてどう曲げるか」を決めておくこと
- 漏電保護(ELB)の要否確認——分岐を増やすことに気を取られ、その回路にELBが必要かどうかの検討が抜けがちです。水気のある場所への回路などは特に注意(詳細はELB省略条件の記事へ)
まとめ
- 回路番号(L盤・P盤)は回路種別と位置を示す重要な情報
- 分岐回路容量には距離と許容電流の明確な条件がある
- 盤の入線部は防湿・防虫・防塵処理を行う
- ELB回路と非ELB回路の接地は原則分離する
- 20Aブレーカー分岐は規定上1.6mmでも可(解釈149条)だが、実務は2.0mm推奨
- 単相3線式は相バランスと中性線欠相に注意
- 既設の古い盤は「今の常識どおり」と思わず構造を確認する
これらはすべて、感電や火災を防ぐための基本ルールです。
設計・施工・点検のどの段階でも、確実に守ることが重要です。
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🔗 ELB(漏電遮断器)は省略できる?|電技解釈第36条の除外条件
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