LBS(高圧負荷開閉器)とは?PFヒューズ・ストライカの仕組みと現場の注意点を解説

LBS(Load Break Switch:高圧負荷開閉器)は、中小規模のキュービクルで主遮断装置として使われる、高圧設備の定番機器です。

「ただのスイッチでしょ?」と思われがちですが、PFヒューズと組み合わせることで遮断器の代わりまで務める、なかなか奥の深い機器です。この記事では、LBSの役割とPF・ストライカの仕組み、そして点検時に実際に注意していること・コンデンサ事故で助けられた話まで、現場目線で解説します。

この記事でわかること

  • LBSの役割と、なぜ300kVA以下はLBS+PFでよいのか
  • PFヒューズの「ストライカ」の仕組み(実物を見ると驚きます)
  • PFの種類(G・T・M・C)と選定の考え方
  • 点検時の注意点と小動物対策【実体験】

🔹 LBS(負荷開閉器)とは?

LBSは、負荷電流を開閉できる高圧開閉器です。DS(断路器)との最大の違いは、通電中の負荷電流を安全に切れること。ただし短絡電流のような大きな事故電流を遮断する能力はなく、そこはPF(パワーヒューズ)との組み合わせで補います。

役割の整理はこうなります。

  • DS:電流は切れない。切れていることを目視確認する機器
  • LBS:負荷電流までは開閉できる。短絡はPFに任せる
  • VCB:短絡電流まで遮断できる本格派

🔗 詳しくは:断路器(DS)とは?VCB(真空遮断器)とは?


🔹 なぜ300kVA以下はLBS+PFでよいのか

高圧受電設備規程では、主遮断装置をLBS+PF(PF・S形)にできるのは設備容量300kVA以下と定められています。それを超える設備はCB形(VCB+OCR)が必要です。

考え方としては、電力会社側(一次側)は事故電流を素早く確実に切りたい——大きな設備ほど事故時の影響が大きいのでVCB+保護継電器による確実な遮断を求め、小規模設備ならヒューズの溶断で素早く切る方式でも十分、ということです。PF・S形はVCB・OCR・直流電源が不要なぶん、導入コストも保守負担も大幅に軽くなります。

🔗 関連:高圧受電設備の概要


🔹 PFとストライカの仕組み【実物を見て驚いた話】

PF(Power Fuse)は高圧限流ヒューズです。私は最初、普通のヒューズと同じで「中の導線が切れるだけ」だと思っていましたが、実物を見て違うことを知りました。

異常電流でヒューズが溶断すると、そのエネルギーで本体からボッチ(ストライカピン)がニュッと飛び出します。このピンがLBSの開放機構を機械的に押し上げ、三相一括で自動開放させるのです。

これが重要な理由は「欠相防止」です。ヒューズが1本だけ切れて2相で運転を続けると、モーターの焼損など二次被害につながります。ストライカ連動なら1本切れた瞬間に三相まとめて切れるので、欠相状態が続きません。ヒューズと開閉器が機械的に連携している——ここがLBSの面白いところです。


🔹 PFの種類と選定の考え方

型式 用途
G 汎用タイプ(一般用途)
T トランス用
M モーター用
C コンデンサ用

実務では、迷ったらG(汎用)を選んでおけばまず問題ないというのが私の感覚です。

容量選定は定格電流の2〜3倍の直近上位が目安ですが、これには理由があります。トランスの励磁突入電流やコンデンサの投入電流は瞬間的に定格の何倍も流れますし、トランスが多少定格を超えて運転しても一時的なら問題ないため、ぎりぎりで選ぶと正常な運転でもヒューズが飛んでしまうのです。「PFは大きめに設定する」と知ったときは意外でしたが、突入で切れるヒューズでは保護になりません。最終的には必ずメーカーの選定表で確認してください。


🔹 点検時の注意【実体験】

LBSを切ってから触る——ヒューズが落ちてくる

点検のときは、必ずLBSを開放してから作業します。LBSに付いているPFヒューズは、触った拍子に外れてスイッチ部分ごと落ちてくることがあるからです。投入状態のまま部材に手を掛けるのは厳禁です。

切るのは新人でもいい。入れるのは熟練者

これはDSと同じ考え方ですが、開放操作は慣れていない人がやっても大きな問題は起きにくい一方、投入は中途半端だと非常に危険です。投入は熟練者が行うか、投入後に必ず経験者が入り具合を確認する——これを徹底しています。

🔗 関連:断路器(DS)の投入が一番危ない話


🔹 進相コンデンサ保護で「付けておいてよかった」【実体験】

現場感覚として、高圧機器の中で進相コンデンサはよく壊れる部類です。実際、コンデンサの故障でPFが動作するケースには何度も遭遇しています。

このとき、コンデンサ回路に個別のLBS+PFを設けてあれば、壊れたコンデンサだけを切り離して、受電は継続できます。予算の都合で省略したくなる部分ですが、ここをケチらず付けておいたおかげで停電せずに済んだ経験があり、以来必ず推奨しています。

また、コンデンサには本体の膨れ(厚みの変化)を検知して連動遮断する保安装置付きのタイプもあります。点検時にはこの連動確認も実施するようにしています。力率改善の自動制御(APFC)と組み合わせる構成もあります。

🔗 関連:APFC(自動力率調整器)とは?


🔹 エネセイバー(励磁突入電流対策)

トランス容量が500kVA以上になると励磁突入電流が大きくなるため、エネセイバーを取り付けて時限付きの2段階投入を行う仕組みが使われます。法的義務はありませんが、電力会社から設置を求められることが多いオプションです。


🔹 小動物対策のバリア【ヘビに注意】

小動物による短絡事故を防ぐバリアもLBSの重要オプションです。私は小動物が入りそうな設備では必ずオプションで注文しています。

というのも、ヘビが機器に巻き付いて事故になったという話を聞いたことがあるからです。特にケーブルピットの中は暖かく、ヘビが住み着くことがあるそうで、ピットの蓋を開けるときは少し警戒しながら開けています。笑い話のようですが、小動物由来の波及事故は実際に起きています。


🔹 よくある質問

Q. ヒューズが1本だけ切れたらどうなる?
ストライカ連動のLBSなら、1本溶断した瞬間にピンが飛び出して三相一括で開放されるため、欠相運転が続きません。これがストライカ機能の最大の価値です。

Q. LBSで休日にトランスを切ってもいい?
無負荷損(待機電力のようなもの)の低減のため、休日や夜間にトランスを解列する運用は実際にあります。LBSは負荷開閉能力があるので、こうした運用の開閉点として使えます。

Q. PF・S形とCB形はどちらがいい?
300kVA以下ならPF・S形が経済的です。ただし将来の増設で300kVAを超える見込みがあるなら、最初からCB形にしておく判断もあります。


🔹 まとめ|明日現場で使える3ポイント

  1. LBSは負荷電流まで開閉可、短絡はPF任せ。300kVA以下の主遮断装置(PF・S形)として定番
  2. ストライカ=溶断時に飛び出すピンがLBSを機械的に開放し、三相一括で切って欠相を防ぐ。PFは突入で切れないよう大きめ(定格の2〜3倍直近上位)を選定
  3. 点検はLBSを切ってから(ヒューズが落ちてくる)。投入は熟練者。コンデンサ回路のLBS+PFはケチらない。ピットのヘビに注意

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