高圧受電設備に使用されるケーブルにはさまざまな種類がありますが、現在主流となっているのが CVTケーブル です。本記事では、CVTケーブルが選ばれる理由や注意すべきポイントについて解説します。
高圧ケーブルの種類とCVTケーブルの特徴
高圧ケーブルには主に以下のような種類があります。
- CV-3Cケーブル:三芯ケーブルで、一本のケーブル内に3本の導体を内包しています。
- CVTケーブル:単芯のケーブルが3本独立して構成されます。
そもそもCVとは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」のことです。C=Cross-linked polyethylene(架橋ポリエチレン絶縁)、V=Vinyl(ビニルシース=外装)。CVTは、CVの単芯を3本より合わせたトリプレックス形を指します。名前が構造をそのまま表しています。
CVTケーブルが使われる理由
CVTケーブルは、以下のような特長から現在広く使用されています。
- 放熱性が高い:各電線が独立しているため、熱がこもりにくく許容電流が大きい。
- 軽量かつ取り回しが良い:柔軟性があり、敷設作業が比較的容易。
- 端末処理が簡単:単芯構造のため、端末の処理がシンプル。
実務でも高圧ケーブルは基本的にCVT一択というのが実感です。CV-3Cケーブルを新規で選定する場面はほとんど見かけません。既設がCV-3Cの場合は、更新のタイミングでCVT化を検討することが多いです。
注意すべきポイント:消火設備と耐火ケーブル
受電設備によっては、消火設備が設置されている場合があります。その際に注意したいのがケーブルの耐火性能です。
- 消防法に明確な規定はないものの、FPTケーブル(耐火ケーブル)が必要とされるケースがあります。
- 所轄の消防署(予防課など)や既設ケーブルを確認し、適切な種類を選定しましょう。
ここは実務でも判断が割れやすいところです。基本はCVTケーブルを使い、消火設備の電源だけ耐火ケーブル(FPT)にする、という整理が一般的です。ただし一部の消防署からは「電気は高圧ケーブルを通ってきている以上、その区間も耐火にすべき」と言われたことがあります。建物火災を想定した動作保証時間がある以上、建物内を高圧ケーブルが通る区間には耐火性能が必要という理屈は理解できる一方、対応が消防署によってまちまちという印象もあります。単に浸透していないだけなのか、こちらの理解が違うのか、正直なところ真相ははっきりしません。判断に迷ったら、必ず所轄の予防課に個別確認するのが安全です。
電圧の違いと確認の重要性
高圧受電設備で使用される電圧は、一般的には6600Vですが、一部の施設では3300Vが使用されている場合もあります。
- 工事や設計に入る前に、電圧の確認は必須です。
太さ確認の重要性
ケーブルの太さを検討する上で許容電流だけでなく、短絡電流も考慮する必要があります。
- 変電所が近いと短絡電流は大きくなります。短絡容量計算書は電力会社に問合せが必要です。遮断時間が0.2sの場合11.3kAを超えると38mm2では許容できなくなります。
この根拠となる式も紹介します。XLPE(架橋ポリエチレン)絶縁の場合、短絡に耐える断面積は次式で概算できます。
必要断面積 S(mm²) ≧ 短絡電流 I(A) × √遮断時間 t(s) ÷ 134
例:短絡電流11.3kA・遮断時間0.2秒なら、S ≧ 11,300 × 0.447 ÷ 134 ≒ 37.7mm²。38mm²がちょうど限界になる計算です。自分の現場の短絡容量で計算してみてください。
経年劣化と絶縁診断——水トリーの怖さ
CVケーブルの代表的な劣化が水トリーです。絶縁体(架橋ポリエチレン)の中に水分が樹枝状に浸入していく現象で、進行しても外観からは分かりません。
怖いのは、絶縁抵抗測定では検出できないことがある点です。実際にあった例では、SOG(区分開閉器)がGR(地絡継電器)で動作して停電し、ケーブルを絶縁測定しても異常値が出なかったため「一時的なものだろう」と判断して再投入したところ、今度は電力会社側の継電器が動作し、波及事故になりました。結局原因はケーブルにあり、抜き替えとなりました。
「メガーがOKだから健全」とは言い切れない——事故点調査での再投入判断は慎重に、というのがこの経験の教訓です。敷設後20〜30年が更新検討の目安で、年次点検の絶縁抵抗測定に加え、直流漏れ電流試験などの絶縁診断で状態を把握しておくと安心です。
盤内で使用されるKIP絶縁電線について
受電盤内では、ケーブルではなくKIP絶縁電線(ゴム絶縁)が使われることがあります。
KIP電線の特徴と離隔距離の規定
- ケーブルと異なり、電線間に離隔距離が必要です。
- 相互間:8cm以上
- 電線と筐体間:5cm以上
屋外用の電線:PDC電線の特長
屋外配線に使用されるPDC電線は、絶縁に架橋ポリエチレンが使用されています。
- 外装が非常に硬く、耐候性が高いのが特長です。
- 施工の際は、取り回しや被覆処理に注意が必要です。
シールドアースは「理屈」で覚える——ZCTとの関係
高圧CVケーブルの銅テープシールド(遮へい層)は接地が必要です。そしてこのシールドアースは、理屈を分かっていないと間違える施工ナンバーワンという印象です。特にサブ変電所への送りケーブルでよく見かけます。
ポイントは「地絡電流はシールドを通って帰ってくる」ことです。シールドの接地線をZCTに通すか通さないかは、この帰り電流がZCTの検出を打ち消すかどうかで決まります。
- ZCTより負荷側でシールドを接地する場合 → 接地線をZCTに通してから接地する
- ZCTより電源側で接地する場合 → 接地線はZCTに通さない
丸暗記ではなく「地絡電流がどの経路で流れ、ZCTを何回・どの向きに貫くか」を図で追えば間違えません。ここを誤るとGRが不動作(地絡を検出できない)や誤動作になります。
構内の架空線にはOC・OE線という選択肢
構内に架空で高圧を渡す場合、CVTケーブルをちょう架線で吊る方法もありますが、重量がかなりのものになります。この場合、OC線(屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線)・OE線(屋外用ポリエチレン絶縁電線)を碍子で支持する方が軽量で、張力・支持物の強度面で有利です。
ちなみにOW線は低圧用なので高圧には使えません。架空線の張力と支持物の強度計算は別記事で解説しています。
🔗 電柱・ポールの強度はこう選ぶ 架空線の水平張力から考える
🔹 よくある質問
Q. CV-3CケーブルとCVTケーブル、結局どちらを選べばいい?
実務ではCVTケーブルが事実上の標準です。放熱性・取り回し・端末処理のしやすさから、CV-3Cを新規で選定する場面はほとんど見かけません。既設がCV-3Cの場合は、更新時にCVT化を検討するのが一般的です。
Q. 消火設備の電源以外にも耐火ケーブル(FPT)が必要になることはある?
あります。所轄消防署の判断によっては、高圧ケーブルが建物内を通る区間全体に耐火性能を求められるケースがあるようです。基準が明確でない部分もあるため、設計段階で必ず所轄の予防課に確認しておくと手戻りを防げます。
Q. 絶縁測定(メガー)で異常が出なければ再投入して大丈夫?
必ずしもそうとは言えません。水トリーのような劣化は絶縁抵抗測定で検出できないことがあります。原因不明のトリップ後は事故点調査を優先し、再投入は慎重に判断してください。
まとめ
CVTケーブルは、放熱性や取り扱いのしやすさから高圧受電設備で広く使用されていますが、設置環境によっては耐火性や電圧仕様の確認が重要です。現場ごとの要件を正しく把握し、適切なケーブルを選定しましょう。
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