太陽光発電の連系保護でUPRが採用された理由とは?RPR・OVGRとの違いを現場目線で解説

太陽光発電設備を高圧連系する場合、一般的には以下の継電器を設置することが多くあります。

  • OVGR(地絡過電圧継電器)
  • RPR(逆電力継電器)

しかし、特高受電の大規模事業所へ高圧連系する際に、「RPRではなくUPRを付けてください」と指導されるケースがあります。

この記事では、以下の内容を現場目線で分かりやすく解説します。

  • UPRとは何か
  • RPRとの違い
  • なぜ特高需要家でUPRが採用されるのか
  • OVGRとの関係

UPR継電器とは?

UPR(Under Power Relay:不足電力継電器)は、「電力が減少したこと」を検出する継電器です。継電器番号は37(不足電力継電器)です。

VT(計器用変圧器)とCT(変流器)から、電圧・電流・力率を演算し、有効電力を監視しています。

有効電力は次の式で表されます。

P = VI cosθ

UPRは、この電力が設定値以下になると動作します。

OCRとの違い

一般的な保護継電器であるOCR(過電流継電器)は、「異常で電流が増える」ことを検出します。一方UPRは逆で、「負荷がなくなって電力が減る異常」を検出します。

継電器動作条件
OCR電流増加
UPR電力低下

UPRはどんな異常を検出する?

代表例はモータやポンプの空転検出です。例えば以下のような異常が発生すると、モータ負荷が軽くなります。

  • 呼び水消失
  • ベルト切れ
  • 羽根破損
  • カップリング破断

すると、電流低下・力率低下・消費電力低下が起きます。UPRはこれを検出して、警報やモータ停止を行います。

UPRの設定はCT比では決まらない

ここは誤解されやすいポイントです。UPRの基準は「CT比の最大値」ではありません。

例えば CT:200/5A だったとしても、これは単なる測定レンジです。実際の設定は、「正常運転時の実負荷」を基準に決めます。

状態消費電力
正常運転40kW
空転時15kW

上記の場合、25kW程度で動作設定するイメージです。

なお、整定値の考え方は上記のとおりですが、実際の案件では最終的な整定値は連系協議のなかで電力会社から指定されました。自分で決め打ちするものではなく、「考え方を理解した上で、協議で指定された値を確認・検証する」というのが実務の流れです。

RPRとの違い

RPR(Reverse Power Relay:逆電力継電器)は、電力の向きが逆になった時に動作します。つまり、P<0 を検出しています。

なぜ特高需要家でUPRが採用されるのか?

ここが重要なポイントです。例えば以下のような大規模工場を考えます。

  • 工場負荷:10MW
  • 太陽光:500kW

このような場合、太陽光が発電しても、工場側の消費電力が非常に大きいため、常に「受電状態」になりやすいです。

つまり、系統事故が起きても P<0 にならず、RPRが動作しない場合があります。

UPRのほうが広い条件で検出できる

UPRは「逆電力になる」まで待たず、「受電電力が減少した」段階で検出できます。そのため、系統切離し・単独運転・潮流急変などを、RPRより早く検出できる場合があります。

特高受電事業所では、この理由からRPRではなくUPRを要求されるケースがあります。

実際の案件:UPRを動かさない追従制御と、停電明けに起きたこと

UPRを付けると、太陽光を負荷に合わせる必要が出る

UPRは、受電電力が整定値を下回ると動作して太陽光を止めます。工場の負荷が軽い日に太陽光が発電しすぎると、受電電力が下がってUPRが動いてしまいます。

この案件では電力会社からUPRを指定されたので、RPRとマルチメータがセットになった装置を入れました。受電電力を監視しながら太陽光の出力を工場の負荷に追従させ、受電電力が整定値を下回らないように運用する仕組みです。

長期休暇の停電明けに、UPRが動作した

工場の長期休暇中に停電作業があり、復電後に次のことが起きました。

  1. 機器の電源が入っていなかったので調べると、VT二次側のヒューズが切れていた
  2. ヒューズを交換すると電源が入ったので、問題なしと判断した
  3. ところが、通信機能だけが壊れていた
  4. 追従制御ができず、負荷の小さい休暇中に受電電力が下がって、UPRが動作した
  5. そこで初めて、通信が取れていないことが分かった

最終的には本体を交換して復旧しました。

VT二次回路の兼用が弱点だった

この装置では、VTの二次回路がUPRの電圧要素・マルチメータの電圧要素・機器の電源を兼ねていました。ヒューズを切るほどの何かが起きると、その影響が1か所にとどまらず、機能のどこかに残る可能性があります。

ヒューズが切れた原因は、停電作業の手順か、その後の測定か、最後まで特定できませんでした。

一方で、UPRの出力は接点で、通信とは独立しています。追従制御が止まっても、保護は正しく動いて安全側に止まりました。保護と制御を分けておく意味は、こういうときに出ます。

対策と教訓

対策として、ヒューズの一次側にブレーカーを設け、停電前に切る手順にしました。停電作業中の測定などで、二次回路に余計な電流が流れないようにするためです。

この経験から言えるのは次の3つです。

  • 「電源が入った」と「機能が戻った」は別。ランプが点いても、通信のような目に見えない機能が死んでいることがある
  • 復電後は、通信が取れて、出力が負荷に追従しているかまで確認する
  • 長期休暇は、負荷が最小になるうえに停電点検が重なる。追従制御にとっていちばん厳しい日になる

OVGRの代わりにはならない

注意点として、UPRはOVGRの代替ではありません。

継電器役割
OVGR地絡事故検出
UPR電力低下検出

OVGRは、一線地絡・ケーブル絶縁破壊などの地絡事故を検出します。一方UPRは、単独運転・負荷喪失・潮流変化を見る継電器です。つまり、監視対象そのものが違うということです。

今回OVGRが省略された理由は?

特高受電設備では、上位変電所保護・PCS内部保護・保護協調が考慮されるため、高圧側OVGR構成が変更されることがあります。

また、太陽光容量が小さく、需要負荷が非常に大きい場合は、単独運転継続リスクが小さいと判断されるケースもあります。ただし「発電量が少ないからOVGR不要」と単純に決まるわけではなく、実際には保護協調全体で判断されます。

試験での確認ポイント

UPRは電力要素の継電器なので、試験では電圧・電流・位相の3つを与えて、動作電力値と動作時限を確認します。電流だけで試験できるOCRと違い、RPRと同様に位相の扱いに注意が必要です。

まとめ

UPRは「電力が減少した」ことを検出する継電器です。特高受電事業所では、負荷が大きくRPRが動作しにくいケースがあるため、RPRではなくUPRが採用される場合があります。

ただし、UPRは地絡保護ではないため、OVGRとは役割が異なります。太陽光連系では、地絡保護・単独運転検出・保護協調を総合的に考えることが重要です。

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