電圧降下の計算式と許容値|こう長・60m超の扱いまで解説【自動計算ツール付き】

🔌 電圧降下とは?

電圧降下とは、電気を送る際に電線の抵抗によって電圧が下がってしまう現象です。                                 電流I☓電線の抵抗R=電圧降下V                                        特に低圧配線では、照明やコンセント、電動機などの設備に影響を与えるため、許容範囲を守る必要があります。


  • 🔗 標準電圧
  • 📏 電圧降下の許容値

    電線の長さ(m)電気使用場所内の変圧器から供給する場合電気事業者から低圧供給を受ける場合
    〜60幹線3%以下
    分岐2%以下
    幹線2%以下
    分岐2%以下
    60〜120合計5%以下合計4%以下
    120〜200合計6%以下合計5%以下
    200超合計7%以下合計6%以下

    🔍 ポイント

    • 電圧降下は変圧器の二次側端子(または引込線の取付点)から最遠負荷までの“こう長”で判断。
    • 幹線・分岐に分けずに、全体で評価することが可能(※60m超の場合)。

    🔧 電圧降下の計算式

    ◆ 直流および単相2線式

    35.6 × L × I
    1000 × S

    ◆ 三相3線式

    30.8 × L × I
    1000 × S

    ◆ 単相3線式線の電圧降下

    17.8 × L × I
    1000 × S
    • e, e’:電圧降下(V)
    • L:電線の長さ(m)
    • I:電流(A)
    • S:電線の断面積(mm²)

    係数「35.6・30.8・17.8」の正体

    式に出てくる係数は丸暗記しがちですが、種明かしをすると全部つながっています。

    • 基本は 17.8 = 1000 ÷ 56(銅の導電率 56 m/Ω·mm²)
    • 単相2線の 35.6 = 17.8 × 2(行き・帰りの2本分の抵抗)
    • 三相3線の 30.8 = 17.8 × √3
    • 単相3線の 17.8 = 平衡していれば中性線に電流が流れないため片道分だけ

    「なぜ単3が一番小さいのか」も、中性線に電流が流れない(=帰りの降下がない)からと理解できます。

    📌 注意!
    計算で使う“こう長”とは、幹線部分だけではなく、変圧器二次端子から負荷までの距離全体を指します。

    電圧降下 自動計算フォーム













    なお、これらは電線の抵抗だけを考えた簡易式で、力率とリアクタンスを無視しています。細い電線ではほぼ問題ありませんが、太い電線(目安38sq以上)や力率の悪い負荷ではリアクタンス分が効いてくるため、正式には e=√3×I×L×(Rcosθ+Xsinθ) での検討が必要になります。


    ⚠️ 設計上の注意点(特に60m超の場合)

    60mを超える場合、次のような扱いになります:

    • 幹線部分と分岐部分をそれぞれで電圧降下を考えなくてもよい。
    • 合計の電圧降下が基準内であればOK。
    • 各部分の割合(幹線:分岐)は任意で設定可。

    💡 電圧降下が起きるとどうなるか——実例と確認方法

    電圧降下の症状は、照明のちらつき、LED電源の再起動、モーターの起動不良・トルク不足などです。実際にあった例を2つ紹介します。

    • リレー回路の動作不安定——接点は閉じているのにリレーの動作電圧が足りず、動作が不安定になったケース。制御回路の配線が長く、電圧降下でコイルへの電圧が不足していました。電線を太くしたら動作が安定。電圧降下は動力・幹線だけでなく制御回路でも起きます
    • 発電機回路の遠距離負荷——発電機回路の構成で特定の負荷までの距離が遠く、許容電流は足りていたのに電圧降下が大きかったため、電線を1サイズ上げたケース。「許容電流OK=そのサイズでOK」ではないことがよく分かる例です

    確認するときは、末端の機器・コンセントで「負荷がかかった状態」の電圧を測るのがポイントです。無負荷では電流が流れず、電圧降下は現れません。対策は電線のサイズアップ、こう長の短縮、幹線構成の見直しが基本です。


    • 電圧降下の確認は電気設計における必須項目。
    • 計算は簡単な式で可能だが、“こう長”の捉え方には注意。
    • 許容範囲を守って、安全で効率的な電気設備設計を。
    • 係数35.6・30.8・17.8の元は「1000÷56(銅の導電率)」
    • 許容電流が足りていても、距離が長ければ電圧降下でアウトになる
    • 電圧は「負荷がかかった状態」で末端測定する
  • 🔗 第一章 電気工事の基本をやさしく解説
  • 🔗 電線の太さ(許容電流)から選定を始める場合はこちら:電線・ケーブルの許容電流早見表と太さの決め方【自動計算付き】

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    🔗 分電盤・配線工事で押さえておきたい実務ルールと注意点

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