「電線とケーブルって何が違うの?」「IVとかVVFとか記号が多すぎる…」——電気の仕事を始めると最初にぶつかる壁です。
この記事では、電線とケーブルの違いから、現場でよく使う絶縁電線9種・ケーブル11種の一覧(記号の意味・耐熱温度・用途)、そして私の使い分けルールと屋外VVFの怖い実話までまとめて解説します。
この記事でわかること
- 電線とケーブルの違い(シースの有無と、使える場所の違い)
- 絶縁電線一覧(IV・KIV・DV・OW・PDC・OC・KIP・MLFC)
- ケーブル一覧(VVF・CV・CVT・VCT・太陽光ケーブルなど)
- 【実録】屋外の外灯にVVFを使った末路
🔹 電線とケーブルの違い——「シース」があるかないか
まず言葉の整理です。
- 絶縁電線:導体を絶縁体で覆っただけのもの(IV・KIVなど)
- ケーブル:絶縁電線の上にさらにシース(外装)で保護したもの(VVF・CVなど)
この違いは見た目だけの話ではありません。絶縁電線は施工方法の決まりが多く、がいし引きや電線管への収容など使える工事方法が限定されます。一方ケーブルはシースの保護があるぶん、そのまま転がし配線や埋設など幅広く使えます。
だから私の実務ルールはシンプルです。基本はケーブルを使う。電線を使うのは盤内配線。そして盤から少しでも外に出るなら必ずケーブル——この線引きで迷いません。
注意:MLFCを「ケーブル」と勘違いして使っている人を見たことがあります。MLFCは難燃性で優秀ですが、あくまで電線(シースなし)です。盤の外へそのまま引き出す使い方はできません。名前や見た目の印象で判断せず、「電線かケーブルか」を必ず確認してください。
🔹 絶縁電線の種類一覧
「電線って種類が多くて違いがわかりにくい…」そんな方向けに、現場でよく使う電線をまとめました。
IV・KIVなどの低圧配線から、高圧用のPDC・OC、さらに盤内で人気のKIP・MLFCまで、
名称の由来(アルファベットの意味)・耐熱温度・用途をひと目で理解できるように整理しています。
■ IV電線(600Vビニル絶縁電線)
記号由来:I = Insulated(絶縁された)、V = Vinyl(ビニル)
- 許容最高温度:60℃
- 絶縁体:塩化ビニル
- 単線・より線あり
- 住宅屋内配線の基本
■ KIV電線(電気機器用ビニル絶縁電線)
記号由来:K = Machine/機器用(慣習)、I = Insulated、V = Vinyl
- 許容最高温度:60℃(一般品)
- すべてより線で柔らかい
- 盤内配線・機器配線に多用
▼ H-KIV(耐熱 KIV)
記号由来:H = Heat-resistant(耐熱)
- 使用温度:75℃ または 105℃(メーカー仕様)
- 600V対応
- 盤内で高温部を通る場合に使用
■ DV電線(引込用ビニル絶縁電線)
記号由来:D = Drop(引込み)、V = Vinyl
- 耐熱温度:60℃(塩化ビニル系一般)
- 屋外引込線用
- 耐候性が高い
■ OW電線(屋外用ビニル絶縁電線)
記号由来:O = Outdoor(屋外)、W = Wire(電線)
- 許容温度:60℃(塩化ビニル系一般)
- 屋外架空・支持線用
- 耐候・耐水が優秀
■ PDC(高圧引下用電線)
記号由来:P = Power(電力)、D = Drop(引下)、C = Cable
- 導体最高許容温度:90℃(XLPE:架橋ポリエチレン)
- 高圧(6.6kV)柱上トランスから盤への引下用
■ OC(高圧屋外用電線)
記号由来:O = Outdoor(屋外)、C = Cable
- 耐熱温度:90℃(XLPE:架橋ポリエチレン)
- 高圧屋外設備で使用
- 導体:硬銅線 or アルミ
■ KIP電線(高圧屋内用電線)
(エチレンプロピレンゴム絶縁ビニルシースケーブル)
記号由来:K = Machine/機器用(慣習)、I = Insulated、P = Propylene Rubber(EPR)
- 耐熱温度:90℃
- 絶縁体:EPR(エチレンプロピレンゴム)
- とても柔らかく、盤内でよく使われる
■ MLFC(難燃性ポリフレックス電線)
正式名称:Massive/Multicore Low Flame Cable(※業界慣習)
※正式な英語表記はいくつかありますが、MLFCは国内規格名称として定着
記号由来:M = Modified/多用途、L = Low Flame(難燃)、F = Flexible(柔軟)、C = Cable
- 耐熱温度:110℃級
- A種難燃など高い難燃性能
- とても柔らかく曲げやすい
- 許容電流が高いため、制御盤配線で人気
まとめ

🔹 ケーブルの種類一覧
電気工事で使う「ケーブル」は種類が多く、見た目が似ていても用途・耐熱温度・屋内外使用の可否が大きく異なります。この記事では、初心者でも理解しやすいように、代表的なケーブルを一覧表+個別解説でまとめました。配線設計や工事で「どれを選べばいい?」と迷う方に役立ちます。
🔍 ケーブルの種類一覧表
| 略称 | 記号の意味 | 日本語名 | 耐熱温度 | 屋内/屋外 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| VVF | Vinyl / Vinyl / Flat | ビニル絶縁ビニルシース平形ケーブル | 60℃ | 屋内のみ(管内なら屋外可) | 住宅・建築配線 |
| EEF | Eco / Eco / Flat | 環境配慮型平形ケーブル | 60℃ | 屋内・屋外(種類による) | 住宅配線、エコ仕様 |
| VVR | Vinyl / Vinyl / Round | ビニル絶縁ビニルシース丸形ケーブル | 60℃ | 屋内のみ | 住宅・工場の固定配線 |
| SV | Soft / Vinyl | ビニルキャブタイヤコード | 60℃ | 屋内外可(紫外線に弱い) | 家電コード・工具電源 |
| 2PNCT | 2芯 / PVC / Normal / Cable / Twisted | ゴム絶縁キャブタイヤケーブル | 90℃ | 屋内・屋外(耐油) | 工場ライン、耐油・柔軟性配線 |
| CV | Cable / Vinyl | ビニル絶縁ビニルシースケーブル | 90℃ | 屋内・屋外 | 工場幹線、動力配線 |
| CV-3C | Cable / Vinyl / 3心 | ビニル絶縁ビニルシース3心ケーブル | 90℃ | 屋内・屋外 | 三相3線の小~中容量動力 |
| CVT | Cable / Vinyl / Twisted | ビニル絶縁ビニルシース三つ撚りケーブル | 90℃ | 屋内・屋外 | 三相動力幹線、屋外引込 |
| VCT | Vinyl / Cabtyre / Twisted | ビニルキャブタイヤケーブル | 60℃ | 屋内・屋外(直射日光NG) | 家電・機器配線、柔軟ケーブル |
| PVCC | Photovoltaic / XLPE / XLPE | 太陽光用ケーブル(架橋PE絶縁・架橋PEシース) | 90℃ | 屋内・屋外(耐候・耐UV) | 太陽光パネル~接続箱(DC1500V) |
| PVCQ | Photovoltaic / XLPE / Quality | 太陽光用高耐候ケーブル(架橋PE絶縁・架橋ポリオレフィンシース) | 90℃ | 屋内・屋外(高耐候・耐UV) | 太陽光機器間配線(DC1500V) |
🧵 ケーブルごとの特徴と用途
■ VVF(平形ケーブル)
最も一般的な住宅配線ケーブル。照明・コンセントの定番。 50HzエリアはFケーブル60HzエリアはVAと呼称
■ EEF(環境配慮型)
VVFとほぼ同等で、低煙・難燃などの環境性能を向上。
■ VVR(丸形ケーブル)
丸形で柔軟性が高く、曲げが多い場所に適する。
■ SV(キャブタイヤコード)
家電や工具の電源ケーブルで使用。可とう性に優れる。 屋外で外装を剥ぎ取ったら紫外線に極端に弱いので紫外線対策必須(テープ巻き等)
■ 2PNCT(耐油・耐熱)
工場ラインや機械周りで定番。90℃対応で耐油性も高い。
■ CV / CV-3C(動力ケーブル)
工場・ビルの動力幹線で使用。90℃対応で屋外にも強い。 太陽光PVようにHCVケーブルを使用ただし600V以下。
■ CVT(三つ撚りケーブル)
三相動力幹線の標準。屋外引込みにも使用される。 直流用に二つ撚りがCVD 蓄電池に四つ撚りがCVQ
■ VCT(柔軟ケーブル)
動く機器や家電の配線向け。柔らかさが特徴。 家電のコードや延長コード300V以下で使用。
■ PVCC / PVCQ(太陽光ケーブル)
耐候・耐UV・1500V対応の太陽光専用ケーブル。 *一部600V仕様があるため注意
🔥 FPケーブル(耐火ケーブル)について
FPケーブルは、消防設備・非常用放送・火災報知設備などの電源(予備電源が無いもの)で必ず使用される特殊ケーブルです。高温でも一定時間通電を維持でき、建物の防災設備には欠かせないケーブルです。
✅ まとめ:用途別のおすすめケーブル
| 住宅の照明・コンセント | VVF / EEF |
| 家電・工具のコード | SV / VCT |
| 工場ライン配線 | 2PNCT |
| 動力・幹線 | CV / CV-3C / CVT |
| 屋外・紫外線が強い場所 | CV・CVT |
| 太陽光発電 | PVCC / PVCQ |
| 消防設備 | FPケーブル |
🔹 使い分けの考え方【私のルール】
| 場面 | 使うもの | 理由 |
|---|---|---|
| 住宅・建物の屋内配線 | VVF | 施工性・コストに優れる |
| 屋外 | 基本はCV | VVFも屋外使用は可能だが、耐用年数が違うという認識。露出屋外にVVFは使わない |
| 動力の幹線 | CV・CVT | 耐熱90℃で許容電流に余裕 |
| 盤内配線 | KIV・KIP・MLFCなどの電線 | 柔らかく作業性が良い。ただし盤から出るなら必ずケーブルに |
| 高圧 | 高圧CV・CVT(+PDC・OC・KIP) | 詳細は高圧ケーブルの記事へ |
| 太陽光のDC回路 | PVCC・PVCQ | 耐候・耐UV・DC1500V対応 |
🔗 関連:高圧ケーブルの種類と選定ポイント|CVTが選ばれる理由
🔹 【実録】屋外の外灯にVVFを使った末路
「VVFも屋外で使えるならいいじゃないか」と思った方に、実際に遭遇した現場の話をします。
屋外の外灯にVVFが露出で使われている設備がありました。長年の紫外線と風雨でシースと絶縁が劣化し、コンクリート柱に完全地絡。照明はつかなくなっていました。
さらに悪いことに、この回路のブレーカーはELB(漏電ブレーカー)ではなかったため、地絡したままでも遮断されずに生きていたのです。原因調査で配線を電柱から離線した瞬間、バチッとスパーク——そして皮肉なことに、地絡が切れた照明は何事もなかったように点灯しました。
この現場の教訓は2つです。
- 露出の屋外にVVFは使わない。施工性とコストは優秀ですが、屋外の紫外線・風雨に対する寿命はCVと別物です。私は使いません
- 屋外照明の回路にはELBを。地絡していても気づけない設備は、感電事故を待っている状態です
🔗 関連:漏電ブレーカーが落ちたときの対処(屋外照明の漏電は定番)/ブレーカーの種類と選び方
🔹 よくある質問
Q. 電線とケーブル、どちらを使えばいい?
迷ったらケーブルです。絶縁電線は使える施工方法が限られます。電線の出番は盤内配線が中心で、盤から出るなら必ずケーブルにしてください。
Q. VVFとCVの違いは?
耐熱温度(60℃と90℃)と耐久性が違います。屋内の一般配線はVVFで十分ですが、屋外や動力幹線はCV系を選びます。
Q. 電線・ケーブルの太さはどう決める?
許容電流から決めます。→ 電線・ケーブルの許容電流早見表と太さの決め方【自動計算付き】
🔹 まとめ|明日現場で使える3ポイント
- 電線=シースなし(施工方法が限定される)、ケーブル=シース付き。基本はケーブル、電線は盤内。MLFCは電線なので注意
- 屋外は基本CV。VVFは使えても耐用年数が別物。露出屋外のVVFは地絡事故のもと(実録参照)
- 屋外照明の回路にはELB。「点かない」の裏で地絡したまま生きていることがある
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