太陽光発電の連系保護でUPRが採用された理由とは?RPR・OVGRとの違いを現場目線で解説

太陽光発電設備を高圧連系する場合、一般的には以下の継電器を設置することが多くあります。

  • OVGR(地絡過電圧継電器)
  • RPR(逆電力継電器)

しかし、特高受電の大規模事業所へ高圧連系する際に、「RPRではなくUPRを付けてください」と指導されるケースがあります。

この記事では、以下の内容を現場目線で分かりやすく解説します。

  • UPRとは何か
  • RPRとの違い
  • なぜ特高需要家でUPRが採用されるのか
  • OVGRとの関係

UPR継電器とは?

UPR(Under Power Relay:不足電力継電器)は、「電力が減少したこと」を検出する継電器です。

VT(計器用変圧器)とCT(変流器)から、電圧・電流・力率を演算し、有効電力を監視しています。

有効電力は次の式で表されます。

P = VI cosθ

UPRは、この電力が設定値以下になると動作します。

OCRとの違い

一般的な保護継電器であるOCR(過電流継電器)は、「異常で電流が増える」ことを検出します。一方UPRは逆で、「負荷がなくなって電力が減る異常」を検出します。

継電器動作条件
OCR電流増加
UPR電力低下

UPRはどんな異常を検出する?

代表例はモータやポンプの空転検出です。例えば以下のような異常が発生すると、モータ負荷が軽くなります。

  • 呼び水消失
  • ベルト切れ
  • 羽根破損
  • カップリング破断

すると、電流低下・力率低下・消費電力低下が起きます。UPRはこれを検出して、警報やモータ停止を行います。

UPRの設定はCT比では決まらない

ここは誤解されやすいポイントです。UPRの基準は「CT比の最大値」ではありません。

例えば CT:200/5A だったとしても、これは単なる測定レンジです。実際の設定は、「正常運転時の実負荷」を基準に決めます。

状態消費電力
正常運転40kW
空転時15kW

上記の場合、25kW程度で動作設定するイメージです。

RPRとの違い

RPR(Reverse Power Relay:逆電力継電器)は、電力の向きが逆になった時に動作します。つまり、P<0 を検出しています。

なぜ特高需要家でUPRが採用されるのか?

ここが重要なポイントです。例えば以下のような大規模工場を考えます。

  • 工場負荷:10MW
  • 太陽光:500kW

このような場合、太陽光が発電しても、工場側の消費電力が非常に大きいため、常に「受電状態」になりやすいです。

つまり、系統事故が起きても P<0 にならず、RPRが動作しない場合があります

UPRのほうが広い条件で検出できる

UPRは「逆電力になる」まで待たず、「受電電力が減少した」段階で検出できます。そのため、系統切離し・単独運転・潮流急変などを、RPRより早く検出できる場合があります。

特高受電事業所では、この理由からRPRではなくUPRを要求されるケースがあります。

OVGRの代わりにはならない

注意点として、UPRはOVGRの代替ではありません

継電器役割
OVGR地絡事故検出
UPR電力低下検出

OVGRは、一線地絡・ケーブル絶縁破壊などの地絡事故を検出します。一方UPRは、単独運転・負荷喪失・潮流変化を見る継電器です。つまり、監視対象そのものが違うということです。

今回OVGRが省略された理由は?

特高受電設備では、上位変電所保護・PCS内部保護・保護協調が考慮されるため、高圧側OVGR構成が変更されることがあります。

また、太陽光容量が小さく、需要負荷が非常に大きい場合は、単独運転継続リスクが小さいと判断されるケースもあります。ただし「発電量が少ないからOVGR不要」と単純に決まるわけではなく、実際には保護協調全体で判断されます。

まとめ

UPRは「電力が減少した」ことを検出する継電器です。特高受電事業所では、負荷が大きくRPRが動作しにくいケースがあるため、RPRではなくUPRが採用される場合があります。

ただし、UPRは地絡保護ではないため、OVGRとは役割が異なります。太陽光連系では、地絡保護・単独運転検出・保護協調を総合的に考えることが重要です。

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