電気を安全・確実に送るためには、「電圧の基準」「電線の種類」「電線の太さ」「保護装置」の4つを理解しておく必要があります。この記事では、電気工事の最初の基礎として、そのポイントをわかりやすく整理します。
■ 標準電圧と供給電圧の関係
日本では家庭用電圧として 100V と 200V が標準電圧 です。
- 標準電圧が 100V の場合 → 101±6V の範囲
- 標準電圧が 200V の場合 → 202±20V の範囲
昔は
- 東日本:100V 50Hz
- 西日本:110V 60Hz
と違いがありましたが、現在は全国的に標準電圧へ統一されています。
また現場では 200V や 220V の表記 を見ることがありますが、これは送電側が
「電圧降下」や「変圧器のロス」を考慮して高めに送り出しているためです。
400V級は
- 50Hz:420V
- 60Hz:440V
末端機器に標準電圧で電気を供給するために、このような送り出し電圧が使われています。
■ 電線とケーブルの違い
電気を送るための導線は大きく分けて 「電線」 と 「ケーブル」 があります。
● 電線
- 導体を絶縁物で保護しただけのもの
- 外的要因に弱い
- 盤内配線や電線管で保護して使う
- 屋外専用で高圧は離隔が大事
● ケーブル
- 電線をシースで覆い、さらに絶縁で保護したもの
- 屋外・露出・配管などどこでも使える(※高圧は除く)
- 配管に入れてはいけない決まりはない
- 外観・紫外線・感電防止など用途に合わせ施工方法を選ぶ
■ 電線が発熱する理由(ジュール熱)
電線に電流が流れると ジュール熱 が発生します。
発熱が大きいと被覆が溶け、短絡・火災の原因になります。
🔥 ジュール熱の公式(基本)
✅ P = I²R
- P:発生する熱量(W = ワット)
- I:電流(A)
- R:抵抗(Ω)
👉 電流が2倍になると、熱は 4倍 になるのがポイントです。
そのため電線には温度上限があります。
例)60℃・75℃・90℃など(電線種別で異なる)
電線の温度を抑えるには、
✔ 太い電線を使い、抵抗を下げる
→ 発熱を抑えられる
✔ 電線管やラック内の“熱こもり”を考慮する
→ 収容本数が多いと熱が逃げにくく、許容電流が下がる
■ 電圧降下と許容範囲
電線の抵抗が高いと、電圧が下がり(電圧降下)、
機器が正常に動作しなくなります。
電圧降下の基準は次の通り:
- 主幹回路:3%以下
- 分岐回路:2%以下
変圧器→主幹→分岐の合計で
標準電圧の+5%以内に収める のが基本です。
■ 電気の保護装置(ブレーカー・開閉器)
電線や機器を守るためには、適切な保護装置が欠かせません。
◆ 開閉器(ハイプロスイッチなど)
- 繰り返しON/OFFに強い
- 機械を操作するスイッチとして便利
- 過電流は遮断できない
◆ 遮断器(ブレーカー)
- 過電流で自動遮断できる
- ただし繰り返し操作には弱い
◆ 漏電遮断器(ELB)
- 過電流+漏電(感電)を検知
- 値段は高いが安全性が高い
→ 一般的な構成
- 主幹:漏電遮断器
- 各分岐回路:遮断器
- 照明・機械:開閉器と組み合わせて制御
■ まとめ:電気工事は「安全に届ける仕組み」を作る仕事
電気を安全に送るためには、
- 標準電圧を守る(電圧降下の管理)
- 適切な電線の太さと種類を選ぶ
- 電線の保護(配管・ケーブル・施工方法)
- ブレーカー・漏電遮断器で電気的に保護する
この4つを意識して配線計画をすれば、
末端の機器まで安全に電気を供給できます。



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