高圧受電設備では、力率の良し悪しが電力料金(基本料金)や設備の健全性に大きく影響します。 力率の改善の為に、コンデンサーの容量を過剰に選定する傾向がありますが、フェランチ効果など問題も発生します。
そのため力率を自動で監視し、進相コンデンサを適切に制御する装置が APFC(Automatic Power Factor Controller:自動力率調整器)です。
本記事では、APFCの仕組み・役割・構成・設定の考え方を、 VCSとの関係も含めて実務目線で解説します。
APFC(自動力率調整器)とは
APFCとは、負荷の変動に応じて力率を自動的に調整する装置です。
電圧VT・電流CTを常時監視し、力率が低下すると進相コンデンサを投入、 進みすぎると遮断することで、力率を適正範囲に保ちます。
- 力率を自動で維持
- 電力料金(基本料金)の削減
- 進み力率・過電圧の防止
なぜAPFCが必要なのか
工場やビルでは、モータや変圧器などの遅れ力率負荷が多く、 負荷変動によって力率が大きく変化します。
進相コンデンサを固定投入しただけでは、
- 昼間:力率不足(遅れ)
- 夜間・軽負荷:進み力率
という問題が発生します。
特に軽負荷時はフェランチ効果により電圧が上昇しやすく、 そこへコンデンサを入れすぎると過電圧となり危険です。
これを防ぐために、自動制御を行うAPFCが必要になります。
APFCは何を見て制御しているのか
APFCは次の信号を使って力率を演算しています。
- CT:電流
- VT(PT):電圧
これらから、
- 有効電力(kW)
- 無効電力(kvar)
- 力率(cosφ)
を算出し、設定値と比較して制御判断を行います。
高圧受電設備におけるAPFCの基本構成
高圧設備での代表的な構成は次の通りです。
CT・VT
↓
APFC(演算・判断)
↓
VCS(投入・遮断)
↓
直列リアクトル
↓
進相コンデンサ(段)
APFCは判断する装置であり、 実際にコンデンサを入り切りするのはVCSです。
APFCの主な設定項目(実務・試験重要)
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 目標力率 | 90~95%が一般的 |
| 投入遅延時間 | 30~120秒程度 |
| 遮断遅延時間 | 30~300秒程度 |
| 段容量 | 均等 or 不均等(細かい制御用) |
力率を100%にしようとするのはNGです。 進み力率を防ぐため、余裕を持たせた設定が重要です。
APFCでよくあるトラブルと原因
① ハンチング(頻繁な入り切り)
- 段容量が大きすぎる
- 遅延時間が短すぎる
② 進み力率になる
- 夜間でもコンデンサが残る
- 目標力率が高すぎる
③ コンデンサ焼損・異音
- 高調波の影響
- 直列リアクトル不足
VCSとの関係まと
- APFC:力率を判断する
- VCS:コンデンサを開閉する
どちらか一方だけでは成立せず、 セットで初めて安全な力率改善が実現します。
まとめ
- APFCは力率を自動制御する装置
- 進み力率・過電圧を防ぐために必須
- VCSと組み合わせて使う
- 目標力率は90~95%が基本
進相設備は「入れれば良い」ではなく、 自動で適切に制御することが重要です。


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