🔌 はじめに
高圧受電設備では、万一の故障時に設備を安全に遮断するために過電流保護が欠かせません。
300kVA以上の高圧設備では、**真空遮断器(VCB)と過電流継電器(OCR)**を組み合わせて保護するのが一般的です。
この記事では、OCRの仕組みやCT(変流器)の選定方法、試験時の注意点まで実務ベースでわかりやすく解説します。
⚙️ 300kVAを境に変わる保護方式
| 設備容量 | 保護機器の構成 |
|---|---|
| 300kVA未満 | LBS(負荷開閉器)+ PF(限流ヒューズ) |
| 300kVA以上 | VCB(真空遮断器)+ OCR(過電流継電器)+ CT(変流器) |
300kVA以上では、より高精度な過電流検出と切り分け動作が求められるため、OCRとVCBによる保護が採用されます。
🔍 OCRはCTと組み合わせて使う
OCRは回路に直接流れる大電流を検出できないため、CT(変流器)を介して電流を監視します。
CTは一次側の大電流を、OCRが扱えるような5Aや1Aなどの標準的な二次電流に変換してくれます。
✔️ たとえば…
- 設備容量:300kVA
- 使用電圧:6600V
- → 三相電流:26.2A(=300×1000÷√3÷6600)
この場合、CT比は「30/5」が妥当です。
一次側26.2Aのとき、OCRには**4.45A(二次)**が入力されます。
🔍 動作方式は電流ひきはずし方式と電圧引きはずし方式
⚡ 1. 電圧引きはずし方式(電圧動作型)
外部の電源(制御電源)を使って、遮断器の中にある「トリップコイル」を動かす方式です。
- 仕組み: 保護リレーが異常を感知すると、外部電源(DC110VやAC100Vなど)からトリップコイルに電気を流し、その磁力で遮断機構を動かします。
- 電源: 別系統の安定した電源(直流電源装置やバッテリーなど)が必要です。
- メリット: * 制御電源さえ生きていれば、どんな時でも確実に遮断できる。
- 遠隔操作や複雑な保護回路と組み合わせやすい。
- デメリット: * 停電時に制御電源がなくなると、遮断できなくなるリスクがある(そのため、通常はバッテリーやコンデンサと組み合わせる)。
🌀 2. 電流引きはずし方式(電流動作型)
事故電流そのもののエネルギーを利用して遮断させる方式です。
- 仕組み: CT(変流器)の二次側に流れる電流を直接、またはリレー経由でトリップコイルに流します。「事故が起きたときの大きな電流」を使って自分を止めるという合理的な仕組みです。
- 電源: 外部電源が不要です。
- メリット: * 制御電源がいらないため、停電時でも確実に動作する。
- 設備がシンプルになり、コストが抑えられる。
- デメリット: * 電流が小さい故障(微弱な地絡など)では、動作エネルギーが足りず遮断できない場合がある。
- 現在は、より確実な「コンデンサ引きはずし」を併用することが多いです。
見分け方
コンデンサー引きはずし装置があるかないか
🔋 なぜ「電圧方式」にコンデンサーが必要なのか?
前回の回答で、「電圧引きはずし方式」には外部電源(制御電源)が必要だとお伝えしました。しかし、ここには一つ大きな弱点があります。
大きな弱点: 事故(短絡など)が起きて、その瞬間に建物全体が停電してしまったら? 制御電源(AC100V/200V)も消えてしまうため、VCBを止めるためのエネルギーが送れず、遮断器が動作しないという致命的な事態になります。
この弱点を解決するために、コンデンサーが登場します。
🛠️ コンデンサ引きはずし装置(CTD)の仕組み
「コンデンサ引きはずし装置(CTD)」という小さな箱を、制御回路に組み込みます。
- 普段(待機中): 制御電源(AC100V等)から常にコンデンサーに電気を蓄えて(充電して)おきます。
- 異常発生時: たとえ事故の影響で制御電源が消えてしまっても、コンデンサーの中に貯めた「貯金(電荷)」を一気に放出します。
- 遮断: そのエネルギーでトリップコイルを動かし、VCBを確実に遮断させます。
🎯 過電流継電器(OCR)の設定方法
OCRは以下の3つの設定で構成されます:
| 項目 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 動作電流(感度電流) | 何Aで動作するか(CT二次基準) | 4A |
| タイムレバー(TR) | 動作時間を決める目盛り | 10 |
| 瞬時要素(INST) | 瞬時に遮断するしきい値 | 10倍(=40A) |
⏱ OCRは2つのモードで動作
- 時限動作
設定電流(例:4A)を超えた場合、時間をかけて動作。
たとえば8Aで流れると、1秒程度で動作。 - 瞬時動作
大電流(例:40A)が流れたら、即(0.05秒以下)で遮断。
🔁 なぜ設定変更できるの?
これは電力会社との保護協調のためです。
故障時に、自分の設備側で先に遮断して波及事故を防ぐ必要があるため、OCRの設定値は指定または協議によって決定されます。
🧪 試験の際の注意点(CTT)
試験時には、**CTとOCRの間に設けたCTT(電流試験端子)**を利用してOCRの動作試験を行います。
⚠ 絶対NGな操作!
- CTが通電中に渡り線(短絡)を外すと、CTの二次側が開放状態になり、高電圧が発生。
- 絶縁破壊や感電事故の恐れあり!
👉 試験の際は、
- OCR側のみに試験電流を流す
「CTにヒューズを入れてはいけない」と言われるのもこのため。
万一開放になってしまうと危険なのです。
📝 まとめ:高圧設備の過電流保護はこう考える!
✅ 300kVA以上はVCB+OCR+CTの構成
✅ CTの選定は「一次電流に対して二次5Aまたは1Aが流れる比率」
✅ OCRの設定値は保護協調の観点から電力会社と協議
✅ 試験時にはCTTで試験
📌 補足:CT比と一次電流の早見表(6600V用)
| 設備容量(kVA) | 一次電流(A) | CT比の目安 |
|---|---|---|
| 100 kVA | 約 8.7 A | 10/5 |
| 300 kVA | 約 26.3 A | 30/5 または 50/5 |
| 600 kVA | 約 52.5 A | 75/5 または 100/5 |
| 1000 kVA | 約 87.5 A | 100/5 または 150/5 |



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