キュービクル式と開放型受電設備の違いと選定基準を徹底解説
高圧受電設備を計画する際、必ず出てくるのが次の疑問です。
「キュービクル式と開放型、どちらを選ぶべきか?」
結論から言うと、
受電設備の選定は 容量・管理体制・将来計画 によって決まります。
① まずは結論|選定の目安
| 条件 | おすすめ |
|---|---|
| 受電容量が小〜中規模 | キュービクル式 |
| 受電容量が大きい | 開放型 |
| 電気主任技術者が常駐しない | キュービクル式 |
| 主任技術者が常駐・厳重管理 | 開放型 |
| 省スペース・短工期 | キュービクル式 |
| 将来の増設・更新が多い | 開放型 |
👉 どちらが優れているかではなく、用途に合っているかが重要です。
② 容量・電気的条件による違い
最初に確認すべきポイントは、
電気的条件がJISの範囲内かどうかです。
キュービクル式が選ばれる範囲(JIS C 4620)
- 公称電圧:6.6kV
- 受電設備容量:4,000kVA 以下
- 系統短絡電流:12.5kA 以下
これらは
JIS C 4620「キュービクル式高圧受電設備」
で定められた条件です。
この範囲内であれば、
規格化された「キュービクル式受電設備」を使用できます。
開放型が必要になるケース
- 大容量トランス(数千〜数万kVA)
- 短絡電流が大きい系統
- 特殊な保護方式・系統構成が必要な場合
👉 JISの枠に収まらない場合は、開放型が選択されます。
③ 管理体制と安全性の違い
キュービクル式と開放型の本質的な違いは、
「箱で守るか」
「人とルールで守るか」
という点にあります。
キュービクル式の特徴
- 金属製の外箱で高圧部を完全に覆う
- 感電リスクが低く、一般人が近づく場所にも設置可能
- 点検・保守を外部委託しやすい
👉 管理しやすさ・安全性重視
開放型の特徴
- 高圧充電部が露出している
- 柵・離隔距離・施錠による安全確保が必要
- 電気主任技術者による常時管理が前提
👉 専門管理前提の設備
④ 設置スペース・建築条件の違い
設置環境によっても選択は変わります。
- キュービクル式
・省スペース
・屋外設置が可能
・後付けしやすい - 開放型
・変電室や専用室が必要
・広い床面積と天井高が必要
・建築計画と一体で設計される
工場・プラントでは、
長期運用を前提に開放型が採用されることが多くなります。
⑤ 将来の増設・更新の考え方
- キュービクル式
・構成が固定的
・大幅な増設は困難
・更新は一括入替になりやすい - 開放型
・機器単位で増設・更新が可能
・負荷増加に柔軟に対応できる
👉 10年後・20年後を考えると差が出るポイントです。
⑥ コスト面での違い
| 項目 | キュービクル式 | 開放型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 安い | 高い |
| 設計・工期 | 短い | 長い |
| 将来拡張性 | 低い | 高い |
初期費用だけを見るとキュービクル式が有利ですが、
長期運用・拡張性では開放型にメリットがあります。
⑦ キュービクル式として認められる条件(JIS C 4620)
「キュービクル式」として認められるには、
日本産業規格 JIS C 4620 に適合する必要があります。
電気的条件
- 電圧:6.6kV
- 容量:4,000kVA 以下
- 短絡電流:12.5kA 以下
構造に関する条件
- 鋼板の厚さ
- 屋内用:1.6mm 以上
- 屋外用:2.3mm 以上
- 充電部の高さ:床面から 150mm 以上
- 外箱・扉は確実に接地されていること
- 換気口(指が入らない保護構造)を設けること
- 扉を閉めたまま確認できる計器窓を設置すること
👉
キュービクルは「ただの箱」ではなく、
感電防止・火災防止・水害対策を数値で固めた安全装置です。
⑧ 離隔距離
離隔距離が必要な理由
- 点検 電気設備の技術基準解釈(第22条)
- 延焼や消防活動 消防法
基本の離隔距離
電気設備の技術基準解釈(第22条)
| 箇所 | 必要な離隔距離 | 理由・法的根拠 |
| 正面(操作面) | 1.0m 以上 | 扉を全開にして遮断器などの操作を安全に行うため。 |
| 背面(点検面) | 0.6m 以上 | 扉や裏蓋を開けて、裏側の配線を確認・清掃するため。 |
| 側 面 | 0.6m 以上 | 換気口の確保、および作業員の通路確保のため。 |
| 上 面 | 0.6m 以上 | トランス等の発熱を逃がすため、および上部配線作業のため。 |
火災予防条例
- 一般:3m
- 認定キュービクル(消防庁告示):1m(条件付き)不燃材0.2m
注意事項
- 所轄消防によりキュービクル式 認定キュービクル 消防告示準拠品で離隔距離が違うため確認必要
- 所轄消防により消防設備(非常用電源設備を伴っている)場合は認定キュービクル必須
- 50kVA以上は変電設備の届出
- ABC消火器10型以上必要
⑧ まとめ
受電設備の選定は、
「容量 → 管理体制 → 将来計画 → 設置条件」
の順で考えることが重要です。
- 一般施設・中小規模 → キュービクル式
- 大規模・専門管理・将来拡張 → 開放型
どちらが上ということはなく、
用途に合った選択が正解です。



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