変圧器(トランス)とは?
変圧器(トランス)とは、交流電圧の大きさを変換するための電気機器です。
電圧を「高くする(昇圧)」ことも「低くする(降圧)」こともできます。
なぜ変圧が必要なのか
電気は同じ電力(kW)であれば、電圧が高いほど電流は小さくなります。
電流が小さくなると、以下のメリットがあります。
- 電線を細くできる
- 電力損失(発熱)が少ない
- 長距離送電に向いている
そのため、送電は高電圧で行われます。
一方、建物内や機器で使用する電気は、
感電や事故を防ぐため できるだけ低電圧であることが望まれます。
この
「送るときは高電圧」「使うときは低電圧」
を実現するために、変圧器が不可欠なのです。
変圧器の基本的な仕組み
一次側・二次側
- 一次側:電源側(入力側)
- 二次側:負荷側(出力側)
電磁誘導の原理
変圧器は、電磁誘導を利用して電圧を変換します。
一次側コイルに交流電流を流すと磁束が発生し、その磁束が二次側コイルに伝わることで電圧が誘起されます。
巻数比と電圧の関係
変圧器では、電圧比=巻数比の関係があります。
V1 : V2 = N1 : N2
例として、高圧6,600Vを200Vに変圧する場合:
6600 : 200 = 1000 : 30
このように、巻数を変えることで電圧を自由に調整できます。
変圧器の役割と使われる場所
変圧器は、電力系統のあらゆる場所で使われています。
- 電力会社(変電所)
超高圧・高圧の変換 - 高圧受電設備(キュービクル)
6,600V → 200V / 100V への降圧 - 家電製品・電子機器
ACアダプタや内部電源回路で使用
変圧器の主な種類
油入変圧器と乾式(モールド)変圧器の比較
| 項目 | 油入変圧器 | 乾式変圧器(モールド) |
|---|---|---|
| 絶縁・冷却方式 | 絶縁油(鉱油) | 空気+樹脂(エポキシ) |
| 冷却性能 | ◎ 非常に良い | △ 油入より劣る |
| 大容量対応 | ◎ 得意 | △ 小~中容量向き |
| 設置場所 | 屋外・屋内 | 屋内向き |
| 火災リスク | △ 引火の恐れあり | ◎ 引火性なし |
| 保守点検 | △ 油管理が必要 | ◎ 比較的容易 |
| 騒音 | ○ 小さめ | △ やや大きい |
| 初期コスト | ○ 比較的安価 | △ やや高価 |
モールド変圧器(乾式)
樹脂でコイルを固めた乾式変圧器で、
屋内設備やビル設備で多く採用されます。
高圧受電設備における変圧器の位置づけ
高圧受電設備では、用途に応じて以下のような変圧器が使われます。
- 電灯トランス(照明・コンセント用)
- 動力トランス(モーター・空調用)
- 灯動トランス(電灯+動力兼用)
- 単相変圧器
負荷内容に応じた選定が重要です。
変圧器の結線方法
スター結線(Y結線)
- 中性点があり、接地が容易
- 電灯用変圧器で多い
デルタ結線(Δ結線)
- 循環電流が流れ、電圧の安定性が高い
- ノイズ低減効果がある
V結線
- 単相変圧器2台で三相負荷に対応
- 仮設や小容量設備で使用される
変圧器の損失と効率
主な損失
- 鉄損:無負荷でも発生(常時発生)
- 銅損:負荷電流に比例して発生
効率が重要な理由
変圧器は、負荷がなくても電力を消費します。
そのため、容量選定や高効率機器の採用は、省エネ・電気代削減に直結します。
よくあるトラブルと注意点
- 過負荷運転
→ 発熱・寿命低下の原因 - 異音・振動
→ 鉄心の劣化や固定不良の可能性 - 絶縁劣化
→ 事故・停電リスクが高まる
定期点検と適切な容量選定が重要です。
まとめ
- 変圧器は電気設備の中核となる機器
- 仕組みを理解すると、保守・点検・設計・電験対策にも役立つ
- 用途・設置環境に合った変圧器選定が重要


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