UVR(不足電圧継電器)とは?役割・仕組み・使い方を実務目線でわかりやすく解説

高圧受電設備や非常用電源設備では、電圧の異常を確実に検出し、安全側に制御することが重要です。その要になるのがUVR(不足電圧継電器:Under Voltage Relay)です。

普段あまり目立たない継電器ですが、停電・復電・非常用電源切替という「設備が一番緊張する瞬間」を支えているのがUVRです。この記事では仕組みと用途に加えて、発電機切替回路を実際に設計したときの工夫まで解説します。

この記事でわかること

  • UVRの仕組みと「フェールセーフ」という考え方
  • VCBの突入電流防止・MCDT・発電機・二重受電での使われ方(一覧表)
  • 【実録】発電機切替で突入電流と戦った設計の話(5秒順次投入)
  • 二重受電でのインターロックと保護の考え方

🔹 UVR(不足電圧継電器)とは

UVRは、VT(計器用変圧器)などから供給される電圧を常時監視し、電圧が低下・消失すると動作する継電器です。

ポイントは、「電圧が下がったら動く」というより、正常電圧で保持されていて、電圧がなくなると保持が外れて動作するという点です。この特性により、電源喪失時には必ず安全側に倒れる「フェールセーフ」な制御ができます。

※フェールセーフ:故障や異常が起きた場合でも、人や設備にとって安全な状態になるように設計する考え方。

動作の流れ

  1. VTなどから制御電圧が供給されている間は、UVRは保持状態
  2. 停電や電圧低下で制御電圧が消失
  3. 保持が解除され、接点が切り替わる
  4. VCBや制御回路に遮断・切替の指令を出す

「VTの電源喪失=確実にUVRが動作する」という、非常に信頼性の高い検出方式です。


🔹 UVRの用途一覧

用途 UVRの役割
VCBの突入電流防止 停電でVCBを開放。復電しても自動投入させず、条件付きで安全に再投入
MCDT(負荷切替)の制御 系統電圧の喪失を検知して、重要負荷を別系統・非常用電源へ切替
非常用発電機の起動トリガ UVR動作を起動条件に。タイマ併用で瞬時停電と長時間停電を判別
蓄電池・PCSの切替判定 系統喪失時の自立運転への切替判定に使用
二重受電の系統監視 各系統の健全性を監視し、切替判断の材料に

なぜ復電時にVCBを自動投入させないのか

停電復帰と同時にVCBが投入されると、変圧器の残留磁束の影響で定格を大きく超える励磁突入電流が流れる可能性があります。UVRで一旦遮断状態を保持し、人の判断または条件付きの制御で再投入するのが安全です。

🔗 関連:VCB(真空遮断器)とは?


🔹 【実録】発電機切替で突入電流と戦った話

非常用発電機の切替回路を設計したときの話です。

発電機は系統に比べて容量に余裕がないため、停電後に全負荷を一斉に発電機へつなぐと、突入電流で発電機が過負荷停止してしまいます。せっかく起動した発電機が負荷投入の瞬間に止まる——これでは非常用の意味がありません。

そこで組んだのが、5秒ごとに負荷を順番に投入していく回路です。リレーの動作電源が設計どおり順番に立ち上がることを一つずつ確認しながら、ダブルスロー(MCDT)が自動で切り替わるように仕上げました。

このとき意識した設計のコツが、突入電流が一番大きい負荷を最初に投入することです。発電機がまだ身軽な(他の負荷を背負っていない)最初の段階で一番の大物を入れてしまい、その後に小さい負荷を足していく。逆の順番にすると、既に負荷を背負った発電機に大物の突入が重なって止まりやすくなります。順序ひとつで切替の成功率が変わる——シーケンス設計の面白いところです。


🔹 二重受電でのUVR:どちらの系統でも保護が効くように

病院・データセンター・防災拠点などの重要施設では、二重受電(2回線受電)を行うことがあります。

2回線受電では、各系統の電圧状態をUVRで監視し、インターロック(両系統の同時投入防止)と組み合わせて切替を制御します。ここで設計時に考慮したのは、どちらの系統で受電している状態でも、保護継電器が正しく動作することです。

切替回路は「電源をどう繋ぎ替えるか」に目が行きがちですが、切り替わった後の状態で保護の死角ができないかまで動作を追って確認する——これが二重受電設計の肝だと思っています。

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🔹 UVRを使用する際の注意点

  • VTや制御電源の取り方によっては、意図しないタイミングで動作することがある
  • 「制御電源喪失=必ず動作する」ことを前提に回路を設計する
  • UVRの動作は誤動作ではなく「安全側動作」として捉える

低圧のブレーカーにも同じ思想のオプション(UVT:不足電圧引き外し装置)があります。

🔗 関連:ブレーカーの種類と選び方(UVTオプション)


🔹 よくある質問

Q. 停電のたびに毎回VCBを手動で入れ直すの?
設備によります。安全最優先の設備では手動再投入、自動復旧が必要な設備ではタイマや条件付きの自動投入回路を組みます。いずれもUVRの「復電しても勝手に戻らない」性質が土台です。

Q. 瞬時停電(瞬停)でも発電機が起動してしまわない?
タイマ回路と組み合わせて、一定時間(例:数秒)電圧喪失が続いた場合のみ起動する構成が一般的です。逆にタイマが長すぎると重要負荷の停電時間が延びるので、負荷の性質に合わせて設定します。

Q. UVRとUVTは何が違う?
思想は同じ「不足電圧で安全側に動作」です。UVRは継電器(制御盤の部品)、UVTはブレーカーに内蔵する引き外し装置を指すのが一般的です。


🔹 まとめ|明日現場で使える3ポイント

  1. UVRは「電圧がなくなると保持が外れる」フェールセーフの継電器。復電時のVCB自動投入を防ぎ、突入電流事故を予防する
  2. 発電機切替では順次投入(例:5秒間隔)+突入電流が最大の負荷を最初に。発電機が身軽なうちに大物を入れるのがコツ
  3. 二重受電では、切替後の状態で保護の死角ができないかまで動作を追って確認する

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