配線方式(電灯・動力)の基本
電気の配線方式には大きく分けて「電灯(単相)」と「動力(三相)」があり、それぞれで使用する線の本数や電圧が異なります。ここでは、現場でよく使う配線方式をわかりやすく解説します。
■ 単相2線式(100V)
単相2線式は電線が2本(+側と−側)で構成され、日本の一般住宅で最も多く使われる配線です。100Vの家電はこの方式が基本です。直流は全部コレ!
- 住宅で最も一般的
- 黒:100V(非接地側) 直流 赤
- 白:0V(接地側) 直流 青
■ 単相3線式(100/200V)
一般家庭の引き込みの多くは単相3線式です。黒・白・赤の3本の線で構成され、100Vと200Vの両方が利用できます。
- 黒-白間:100V
- 赤-白間:100V
- 黒-赤間:200V(IH・大型エアコンなど)

■ 三相3線式(200V)
工場やビルの動力でよく使われる方式です。R・S・Tの3本の線を使い、モーターを効率よく回せるのが特徴です。
- モーターやポンプで使用
- 3本の線のみ 線間電圧200V 赤 白 青
- 3本の線のみ 線間電圧400V 赤 黒 青
- 線を入れ替えるとモーターの回転が逆になる
- 電力の計算が W=√3☓電圧☓電流

■ 三相4線式(400/230V)
蓄電池設備で使われることがあります。中性線が追加され、3相+中性線の4本で構成されます。
- 線間電圧:400V
- 対地電圧:各相230V
- 中性線あり
対地電圧と線間電圧の違いとは?
電気設備の点検で重要なのが「線間電圧」と「対地電圧」の違いです。今までの説明は線間電圧です。これから、対地電圧の説明です。
- 線間電圧:線と線の間の電圧(例:黒−赤=200V)
- 対地電圧:線と大地(アース)の間の電圧(例:黒−アース=100V)

■ 100V(単相2線式)の対地電圧
- 黒 − アース:100V
- 白 − アース:0V
■ 単相3線式の対地電圧
- 黒:100V(対地)
- 赤:100V(対地)
- 白:0V(中性線)
■ 三相3線式(スターとデルタ)の対地電圧
●スター(Y)結線:対地電圧は約116V(200V ÷ √3)
●デルタ(Δ)結線:中性点が無く、対地電圧は不定(安定しない)
■ 三相4線式(400/230V)の対地電圧
●スター(Y)結線:対地電圧は約230V(400V ÷ √3)
■ まとめ
電圧測定を行う際は、次の2点がとても重要です。
- どの線とどの線を測るか(線間・対地の違い)
特に対地電圧の確認は、安全性の確保・トラブルの早期発見に直結します。現場作業では配線方式を必ず確認し、正しい測定を行いましょう。
次の記事では、第四章 接地線(アース)の役割と、A種〜D種までの接地の違いを徹底解説!簡易計算機能付きについて解説します。



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