空調機を選ぶとき、「馬力(PS)」「能力(kW)」「消費電力(kW)」など、似たような単位が多くて混乱したことはありませんか?
この記事では、それぞれの意味と違い、そして空調機の選定に役立つ基礎知識を解説します。
馬力(PS)とは?電気的な出力との関係
空調機は一般的に「○馬力」と表示されていることが多いです。この馬力(PS)は、日本での慣習的な表記で、電気的な消費電力に換算すると以下のようになります。
- 1馬力(PS) ≒ 0.745kW(消費電力)
つまり、「3馬力」と表記されている機器なら、おおよそ2.24kWの電気を消費することになります。
能力(kW)とは?冷暖房出力を表す単位
一方で、能力(kW)は空調機が発揮できる冷暖房の出力を表します。
- 1馬力(PS) ≒ 2.8kW(能力)
この値は「消費電力」ではなく、「どれだけ冷やせるか・温められるか」の性能指標です。ここが混乱しやすいポイントです。
型式の数字は能力kWの10倍!
たとえば、エアコンの型番で「280」と書かれていると、それは「能力2.8kW」を示しています。数字を10で割ると能力が出てくる、という仕組みです。
COPとは?エネルギー効率の指標
エアコンの性能を測る代表的な指標として「COP(Coefficient of Performance)」があります。
- COP = 能力kW ÷ 消費電力kW
一般的に3.3前後の値が多く、この数値が高いほど「少ない電力で大きな能力を出せる=省エネ」です。
部屋の大きさと空調能力の関係
では、どのくらいの能力を選べばいいのでしょうか?
空調設計では、部屋の面積に対する冷房・暖房の「必要熱量(kcal/h)」から能力kWを算出します。
必要熱量の目安(用途別)
用途 | 熱量(kcal/m²・h) | 備考 |
---|---|---|
事務所 | 130 | あまり動かない人が多い |
最上階 | 150 | 天井からの熱が加わる |
飲食店 | 260 | 人数・火気が多い |
お店 | 350 | 来客数が多い |
工場 | 175〜290 | 作業内容・設備により変動 |
能力kWの求め方
- 面積 × 熱量(kcal/m²・h)で「合計熱量(kcal/h)」を計算
- それを860で割ると、能力kWに変換できます
- 最後に、安全率(1.2倍)をかけて選定します
例:50㎡の事務所の場合
130 × 50 = 6,500 kcal/h
6,500 ÷ 860 ≒ 7.56 kW
7.56 × 1.2 ≒ 9.07kW ⇒ 3馬力程度が目安
空調能力・馬力計算フォーム
まとめ:単位と意味を整理すれば空調選定はカンタン!
用語 | 内容 | 単位 |
---|---|---|
馬力(PS) | 表示上の目安 | 1PS ≒ 0.745kW(消費電力) |
能力(kW) | 冷暖房の出力 | 1PS ≒ 2.8kW(能力) |
消費電力 | 電気の使用量 | kW |
COP | エネルギー効率 | 能力÷消費電力 |
型式の数字 | 能力kWの10倍 | 例:280=2.8kW |
数字の意味を整理するだけで、空調機の仕様がグッとわかりやすくなります。目的や用途に合わせて、最適な空調機を選びましょう!
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