LPガスの圧力と配管径の関係をやさしく解説

~プロパン・ブタンガスの基礎から配管設計のポイントまで~

🔸 LPガスは空気より重い

LPガス(液化石油ガス)は、プロパン(C₃H₈)やブタン(C₄H₁₀)などを液化したガスで、空気よりも重くなっています。

ガス種空気との比重
プロパン約1.5倍
ブタン約2.0倍

この特性により、漏れた場合は低い場所に滞留しやすく、注意が必要です。


🔸 完全燃焼に必要な空気量

プロパンを燃焼させるには、多くの空気が必要です。
理論上、ガス体積の約24倍の空気が必要です。


🔸 LPガスの圧力の種類

🟠 ボンベ内圧(季節による変動)

  • 夏:約 1.2 MPa
  • 冬:約 0.4 MPa

🟢 調整器の出口圧(一次圧)

  • 通常 2.3〜3.3 kPa

🟡 閉塞圧力(使用直後の最大圧)

  • 3.5 kPa以下

🔵 圧力損失

  • 一般住宅や小規模設備:0.3〜0.55 kPa以下

🔴 燃焼器入口圧力

  • 2.0〜3.3 kPaが適正範囲

🔸 中圧・高圧の基準

区分圧力範囲
低圧2.3〜3.3 kPa
中圧60〜80 kPa
高圧0.7〜1.3 MPa

🔸 圧力損失の設計値

調整器と燃焼器の圧力差を見積もり、圧損は0.3 kPa程度を基準にします。


🔸 配管の圧力損失計算式

配管が細いと圧損が大きくなり、太くすると施工費用が上がります。
そのため、適切な内径の計算式が必要です。

✅ 説明(中のロジック)

  • ガス流量:m³/h
  • 配管内径:選択式(呼び径 → 内径)
  • 長さ:直線距離(実際は補正が必要だがシンプル化)
  • 比重:プロパンガス 1.5で固定
  • 圧力損失計算:下記式を簡略化した経験式

LPガスの圧力損失計算式

ガスの流量(Q)、配管長(L)、ガス比重(S)、配管内径(d)を用いて、圧力損失(ΔP)は次の式で求められます:

$$\Delta P \approx \frac{\left(\frac{Q}{52.31}\right)^2 \cdot \left(0.098^2 \cdot S \cdot L\right)}{d^5}$$

– Q:ガス流量(m³/h)
– L:配管長(m)
– S:ガスの比重(プロパンは1.5)
– d:配管内径(cm)

単位を合わせることで、ΔP(kPa)の近似値が求められます。

LPガス 圧力損失計算フォーム












※流量は使用する機器の合算値で計算


🔸 呼び径と実内径(JIS参考)

呼び径実内径(cm)
15A1.51 cm
20A2.14 cm
25A2.72 cm
32A3.55 cm
40A4.12 cm
50A5.27 cm
65A6.59 cm

🔸 まとめ

  • プロパンは空気より重く、燃焼には大量の空気が必要
  • 配管設計では調整器から燃焼器までの**圧力損失(0.3 kPa程度)**を見込む
  • ガス流量や圧力条件に合わせて配管径を計算し、最適なバランスを取ることが重要

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