LPガス容器・バルク貯槽の設置基準と離隔距離|火気・建物・届出要件を解説

液化石油ガス(LPガス)を安全に設置・使用するには、「火気や建物からの離隔距離」や「保安物件の種別」「届出の要否」などを正しく理解しておく必要があります。この記事では、20L以上のガスボンベやバルク貯槽の設置時に必要な離隔距離や届出要件をわかりやすく整理します。


🔥 火気からの離隔距離

20L(約10kg)以上のガス容器を設置する場合、火気から2m以上の離隔距離が必要です。

「火気」には裸火だけでなく、以下のような電気機器も含まれます:

  • スイッチ
  • コンセント
  • エアコンの室外機
  • 自動販売機 など

🚧 離隔距離が取れない場合の対応

やむを得ず2m未満になる場合は、供給管以上の高さの不燃材隔壁を設けることで対応可能です。

● 隔壁の例

  • コンクリートブロック
  • 鉄板(鋼板)

🛢 容器・バルク・貯槽の火気からの距離

種類容量火気からの距離
容器(シリンダー)1t未満2m以上
バルク貯槽1t未満2m以上
バルク貯槽1t以上3t未満5m以上
バルク貯槽3t以上8m以上

※1MPa以上の高圧仕様や、受払設備がある場合は さらに8m以上 の距離が必要です。


🏠 建物(保安物件)からの距離

建物との距離は、建物の種類によって異なります。建物は「第一種保安物件」「第二種保安物件」に分類されます。

種類第一種保安物件(学校・病院等)第二種保安物件(住宅など)
1t未満1.5m以上1.0m以上
1t以上3t未満7.0m以上7.0m以上
3t以上16.97m以上11.31m以上

🧾 届出・許可の必要条件

容量届出内容届出先
300kg未満不要
300kg〜500kg未満消防法に基づく設置届管轄消防署
500kg〜1000kg未満高圧ガス保安法+消防法消防署+都道府県知事
1000kg以上特定供給許可が必要経済産業局または知事
3000kg以上特定高圧ガス消費者の届出義務経済産業局または知事

🔥 消火器・防消火設備の設置

  • 1t未満〜3t未満:設置容量に応じて、ABC粉末消火器(例:20型)を1本以上設置
  • 3t以上:消火器に加えて、屋外消火栓や防火水槽などの防消火設備の設置が必要

✅ まとめ

LPガス設備の設置には、単に「距離を空ければよい」というだけでなく、建物の用途や設置容量、届け出の要否などを考慮する必要があります。安全と法令順守のためにも、設置の際は専門業者や自治体への確認を徹底しましょう。

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