一般的に動力用の三相変圧器といえば、最初から三相一体で作られているものを使うのが普通です。しかし実は、単相変圧器を3台組み合わせることでも動力用として使用することが可能です。
この方式は「変圧器バンク」と呼ばれることもあり、以前は工場や受変電設備などでも広く使用されていました。現在では三相変圧器の性能向上により一体型が主流ですが、単相3台構成ならではのメリットもあり、今でも一部設備では採用されています。
とはいえ、単相3台構成には注意点もあります。設置面積が広く必要だったり、配線が複雑になったり、効率がやや悪くなったりするため、通常はあまり採用されません。ですが、これにはいざというときに助かる利点も存在します。
特に「設備を完全停止できない工場」や「一部負荷だけでも継続運転したい設備」では、単相3台構成のメリットが活きることがあります。
単相3台構成のメリット
単相変圧器3台構成には、三相変圧器一体型にはない特徴があります。特に大きなメリットとして知られているのが、「故障時の継続運転」と「単相負荷を取り出せる柔軟性」です。
1台故障してもV結線で運転できる!
もし3台のうち1台が故障した場合でも、残り2台を使ってV結線運転ができます。これにより、完全停止を回避できるのが大きなメリットです。
通常、三相変圧器一体型が故障すると、変圧器全体を停止する必要があります。しかし単相3台構成では、故障した1台のみを切り離し、残り2台で最低限の運転を継続できるため、設備停止リスクを低減できます。
このため、昔の工場設備や重要負荷を扱う設備では、保守性や継続運転性を重視して採用されることもありました。
ただし、出力容量は当然低下します。
例えば、10kWの単相変圧器を3台組み合わせた場合、通常の三相運転なら
10kW × 3台 = 30kW
の出力が可能ですが、V結線にすると
20kW × (√3/2) ≈ 17.32kW
となり、約57.7%の容量になります。
よく「V結線では約58%まで容量が低下する」と言われますが、これはデルタ結線時の三相容量に対して比較しているためです。
つまり、完全な三相出力はできなくなるものの、「設備を完全停止せず最低限運転を継続できる」という点が非常に重要なのです。
単相負荷も取り出せる!
さらにもう一つの利点として、単相出力を並行して取り出せるという特徴があります。
三相動力設備だけでなく、照明やコンセントなどの単相負荷を同時に使用したい場合、単相変圧器構成は柔軟に対応できます。
例えば、工場設備では「動力は三相200V」「照明や制御電源は単相100V」というケースも多く、このような用途で便利です。
例えば、次のようなケースを考えましょう。
- 単相負荷として4kWを取り出したい場合
- 単相変圧器1台あたりの定格は10kW
このとき、単相側で4kWを使用すると、残りの容量は
10kW – 4kW = 6kW/台
となります。
3台分合わせると、動力用の容量は
6kW × 3台 = 18kW
となります。
もしここでもし1台故障してV結線運転に移行した場合、単相負荷を取り出しながらの動力出力は、
- 単相残容量:6kW/台
- V結線容量換算:(6kW × 2台) × (√3/2) ≈ 10.39kW
となります。
つまり、一部負荷を制限すれば、故障時でも最低限の動力運転を継続できる可能性があります。
単相3台構成のデメリット
- 設置スペースが大きくなる
- 配線が複雑になる
- 損失が増えやすい
- 保守点検箇所が増える
- 三相一体型よりコスト高になる場合がある
特に近年では、三相変圧器自体の信頼性が向上しているため、一般的な建物では一体型が主流です。
まとめ
| 項目 | 通常3台運転 | 1台故障時(V結線) |
|---|---|---|
| 動力出力(単相負荷なし) | 30kW | 17.32kW |
| 動力出力(単相負荷4kW使用時) | 18kW | 10.39kW |
単相3台構成は、設置スペースや効率面で不利ですが、
- 1台故障時にも稼働を継続できる
- 単相と三相を同時に取り出せる
- 保守時の柔軟性が高い
という、非常に現場寄りのメリットがあります。
「いざというときに止めたくない」「単相負荷も同時に取りたい」という場面では、今でも十分に選択肢となる構成です。
一般的に動力用の三相変圧器といえば、最初から三相一体で作られているものを使うのが普通です。しかし実は、単相変圧器を3台組み合わせることでも動力用として使用することが可能です。
とはいえ、単相3台構成には注意点もあります。設置面積が広く必要だったり、効率がやや悪くなったりするため、通常はあまり採用されません。ですが、これにはいざというときに助かる利点も存在します。
単相3台構成のメリット
1台故障してもV結線で運転できる!
もし3台のうち1台が故障した場合でも、残り2台を使ってV結線運転ができます。これにより、完全停止を回避できるのが大きなメリットです。
ただし、出力容量は当然低下します。
例えば、10kWの単相変圧器を3台組み合わせた場合、通常の三相運転なら
10kW × 3台 = 30kW
の出力が可能ですが、V結線にすると
20kW × (√3/2) ≈ 17.32kW
となり、約**86%**の容量になります。
単相負荷も取り出せる!
さらにもう一つの利点として、単相出力を並行して取り出せるという特徴があります。
例えば、次のようなケースを考えましょう。
- 単相負荷として4kWを取り出したい場合
- 単相変圧器1台あたりの定格は10kW
このとき、単相側で4kWを使用すると、残りの容量は
10kW – 4kW = 6kW/台
となります。
3台分合わせると、動力用の容量は
6kW × 3台 = 18kW
となります。
もしここでもし1台故障してV結線運転に移行した場合、単相負荷を取り出しながらの動力出力は、
- 単相残容量:6kW/台
- V結線容量換算:(6kW × 2台) × (√3/2) ≈ 10.39kW
となります。
まとめ
| 項目 | 通常3台運転 | 1台故障時(V結線) |
|---|---|---|
| 動力出力(単相負荷なし) | 30kW | 17.32kW |
| 動力出力(単相負荷4kW使用時) | 18kW | 10.39kW |
単相3台構成は、設置スペースや効率面で不利ですが、
- 1台故障時にも稼働を継続できる
- 単相と三相を同時に取り出せる
という、非常に現場寄りのメリットがあります。
「いざというときに止めたくない」「単相負荷も同時に取りたい」という場面では、まだまだ十分に選択肢になる構成です!



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