照明器具を選ぶとき、「明るければいい」と思っていませんか?実は、用途や設置環境に合わせた適切な明るさや性能を選ばないと、作業効率や安全性、快適性に大きく影響します。
この記事では、用途別の適正な照度(ルクス)や演色性(Ra値)、さらには高温・低温環境やクリーンルーム、防爆対応といった専門的な観点からも、照明器具の正しい選び方を解説します。
1. 用途別|適正な明るさ(照度)の目安
作業内容に応じた適正な照度(ルクス)を下表にまとめました。
作業内容 | 推奨照度(ルクス) |
---|---|
精密作業(製図、精密部品の製造など) | 1,500ルクス以上 |
検査・選別作業(繊維、品質検査など) | 750ルクス以上 |
一般的な製造ラインでの目視作業 | 300ルクス以上 |
粗作業(倉庫での荷さばきなど) | 70ルクス以上 |
一般事務作業(デスクワークなど) | 300ルクス以上 |
通路や廊下など付随的な事務スペース | 150ルクス以上 |
✅ ポイント:
作業が繊細になるほど、より高い照度が求められます。
2. 色の見え方も大事!演色性(Ra値)をチェック
照明の光で物の色がどれだけ自然に見えるかを示すのが**演色性(Ra値)**です。
- Ra 80以上:自然な色合いで、事務所・工場・店舗に最適。
- Ra 90以上:精密な色確認が必要な場所(印刷、医療、美術など)におすすめ。
✅ ポイント:
「明るさ」だけでなく、「色の正確さ」も重要!
3. 眩しさ(グレア)対策で作業効率アップ
照明がまぶしすぎると、目の疲れや作業ミスの原因に。グレア対策された照明器具を選びましょう。
- 拡散カバーやルーバー付き器具を使用
- 照明の配置で直視を避ける設計に
4. 設置環境に合わせた器具選定
照明器具は、周囲の環境温度や衛生・防爆要件に応じて選ぶ必要があります。
🔹 高温・低温環境での選定
温度帯 | 対応器具 |
---|---|
一般環境(5~35℃) | 標準照明器具 |
高温環境(~60℃) | 高温用照明(耐熱構造) |
低温環境(-2℃、-40℃) | 冷蔵・冷凍用照明(防湿・耐低温) |
🔹 クリーンルームやHACCP環境
環境 | 特徴 |
---|---|
クリーンルーム | 密閉型、防塵防菌仕様、清浄度クラス対応 |
食品・医薬工場(HACCP) | 防水、防塵、飛散防止カバー付き |
🔹 防爆対応が必要な場所
危険物を扱う施設や爆発性ガスが存在する場所では、防爆照明器具の使用が義務付けられています。
5. チェックリスト|照明器具選びで押さえるべきポイント
- ☑ 明るさ(ルクス)が用途に適しているか?
- ☑ 色の見え方(Ra値)は十分か?
- ☑ グレア(まぶしさ)対策がされているか?
- ☑ 温度環境に適応しているか?
- ☑ 清浄度・衛生要件を満たしているか?
- ☑ 防爆エリアなら防爆仕様か?
まとめ
照明器具の選定は、単なる「明るさ」の問題ではなく、作業の質や安全性、快適さに直結する重要な要素です。用途・環境に最適な照明を導入することで、作業効率の向上や品質管理にもつながります。
今後の設備選定や職場改善の際には、この記事をぜひ参考にしてみてください。
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