太陽光発電や発電機に必要な「OVGR(地絡過電圧継電器)」とは?

GRやDGRだけでは不十分な理由と仕組み解説!

🔌 系統連系時に必要な「OVGR」ってなに?

太陽光発電設備や非常用発電機などを高圧で電力系統に接続する際、**OVGR(地絡過電圧継電器)**の設置が求められます。

これは、漏電や地絡が起きた際に、安全に発電を停止させるための装置です。

一見、「GR(地絡継電器)」や「DGR(地絡方向継電器)」がすでに引込柱などに付いているなら、それで十分じゃないの?と思うかもしれません。

でも、それだけでは不十分なのです。


⚡ GRとOVGRの違いは?【仕組みで比較】

比較項目GR(地絡継電器)OVGR(地絡過電圧継電器)
検出方式電流で検出電圧で検出
使用機器ZCT(零相変流器)ZPD(零相電圧検出器)
感知範囲構内(需要家内)の地絡のみ電力系統全体の地絡
検出例ケーブルの損傷、機器漏電ケーブルの損傷、機器漏電、雷など

🌀 GRの動作原理

ZCTは、3本の電線(R・S・T)すべてを通すリング状のセンサです。
行きと帰りの電流が一致していれば「漏電なし」。
一致していなければ、「どこかで漏れている」と判断してGRが作動します。


🌐 OVGRの動作原理

一方、OVGRは**「電圧のバランスの崩れ」**を使って漏電を検出します。

通常時(バランスが取れている)

ベクトル図で見ると、R・S・T相が正三角形のようにバランスしているため、
中性点(星形の中心)には電圧がかかっていません

地絡時(バランスが崩れる)

たとえば、R相が地絡すると他の2相(S・T)とのバランスが崩れ、
中性点に電圧(対地電圧)が発生します。
この電圧をZPDで検出し、OVGRが作動します。

📐 完全地絡時: 6600 ÷ √3 ≒ 3810V
📏 検出基準: その10% → 約381V(一次換算)


❓ なぜOVGRが必要なの?

GRは構内の漏電しか検出できないため、もし電力会社側の配電線で地絡が起きても、
自家発電は止まらず発電を続けてしまいます。

⚠️ これは事故の拡大や感電の原因になります。

OVGRなら、構外のどこで漏電しても感知でき、発電設備を安全に遮断できます。
つまり、構内・構外問わず地絡を感知できる唯一の手段なのです。


⚡ OVGRの弱点:雷で誤動作も…

ZPDは対地電圧の異常を検出するので、雷による異常電圧でも作動することがあります。
ただし、安全確保を最優先するためには、これは許容すべき性質とも言えます。


✅ まとめ

  • OVGRは、構外の地絡も検出できるため設置が義務
  • GRだけでは自家発電の事故防止に不十分
  • OVGRは電圧式で、電力系統の安全性を確保する装置
  • 設置時はZPDとのセットが必須
  • 雷などによる誤動作もあるが、安全優先のため必要不可欠

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